12
「ピーター!なんてことを…!!」
ナタリーはその場にしゃがみこみ、号泣する。
男は、ただ呆然と立ち尽すだけだった。
*
その後、暁の女王はなかなかみつかることはなかった。
女王として我が子を差し出す事を良しとしなかった家族は、そっと町を離れて行った。
引き抜かれた破魔矢の影響なのか、ただの偶然なのか、その頃から町は酷い災害に見舞われ、さらには流行り病が蔓延し大勢の人々の命を奪った。
怖れを成した人々は次々に町を離れ、長い年月をかけ、やがて町には誰もいなくなった…
一度は死に絶えた町も、月日の流れと共に再び命の息吹を見せ始めた。
その頃には過去の忌まわしい出来事は人々の記憶から忘れ去られ、少しずつ人が移り住み、やがて小さな集落が出来ていった。
人数が増えて行くに従い、二つの集落の人々は川の水をめぐって争いをするようになった。
最初はほんの些細な口論だったものが、次第に大きな争いへと発展し、二つの集落は真っ赤な炎に焼き尽され、大半の者はそこで命を落とした…
- 136 -
しおりを挟む
コメントする(0)
[*前] | [次#]
お題小説トップ
章トップ