028 : 見えない真実1






「アレクシス様〜!!た…大変です!!
こ、これを……!」

「こっ、これは、まさかっ!!」

門番が差し出したものを見て、責任者のアレクシスの顔から血の気が引いていく…
それは、濡れて水滴の垂れる一本の矢だった。
その白と赤に染め分けられたフェザーにアレクシスははっきりと見覚えがあった。



「なぜ、この矢がここにある?
だ、誰が、こんなものを!!」

「そ…それが…暗かった上にずぶ濡れのその者は頭にフードをすっぽりとかぶっておりましたから顔は見えませんでしたが…声の様子からまだ若い男のように思えました。
男は、『悪魔の館から破魔矢を引き抜いた。
ローブはもはや暁の女王ではない!』と言い残し、雨の中を走り去ってしまったのです!」

「な…なんということを…!」

アレクシスは、矢をみつめながらがっくりと肩を落とした。
しかし、次の瞬間、アレクシスはきっぱりとした表情で顔を上げ、部下達に次々と指示を与えた。







「どうしたの?騒がしいけどなにかあったの?」

屋敷内の異変に気が付いたローブは、寝室を抜け出し、廊下にいたメイドに声をかけた。



「まぁ、ローブ様、起こしてしまいましたか?
申しわけありません。」

「そんなことは構わないけど、一体どうしたの?」

「それが……」

言いよどむメイドにローブの厳しい声が飛んだ。



「何があったのかって聞いてるのよ!
はっきり言いなさい!」

「は…はい、ローブ様…!
実は……」

メイドは、先ほどの出来事をローブに話して聞かせた。



「な…なんですって…
破魔矢が…!?」

ローブは両手で頬を押さえ、その声は小さく震えていた。



(な…なんてことを…)

ローブには矢を引き抜いた犯人がわかっていた。
その犯人がなぜそんな大それたことをしてしまったかということも…



(ピーター…なんてことをしでかしてしまったの…
私のために…私のためにあなたは…)

部屋に戻ったロープはピーターのことを考えて涙を流した。
ピーターがそれほどまでに自分のこと考えていてくれていたこと…破魔矢を引き抜いた事でこれからどうなるのだろうという怖れと、もしも、犯人がピーターだとわかれば彼はどうなってしまうのだろうという不安…様々な感情が入り混じり涙に変わってローブの頬を熱く伝った。


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