ローブの身体から、不意にピーターの温もりが離れた。



「ローブ…戻ろう…」

「……え…?」

「僕に良い考えがある。
今度こそうまくいくから…ローブ、僕を信じて…!」

ピーターが何を考えているのか、ローブには見当もつかなかった。
どうすれば良いのか戸惑っているうちに、ピーターはローブの手を取り駆け出していた。



「ピーター…ま、待って…
ど、どうする…つもりなの?」

息を切らしながら、ローブはピーターに問い掛ける。



「ローブ、安心して!
今度こそ、うまくいくから!」

ピーターはローブの方に顔を向けることもなく、そう答えた。



二人がローブの屋敷に戻った時には、もうすっかり明るくなっており、屋敷の中はいつもよりざわめいているように感じられた。



「わかったね、ローブ。
ちょっといたずらをして隠れてただけだって言うんだよ。」

ローブはピーターの言葉に黙って頷いた。
ピーターはローブを抱き抱え、高い塀の上にそっと乗せて微笑んだ。



「ローブ…幸せになるんだよ…」

「ピーター!何をするつもりなの?」

「大丈夫。
君は何も心配しなくて良いんだ。」

その時、近くからローブの名を呼ぶ声が聞こえた。



「ローブ、急いで!
皆が君を探してる!」

「でも……」

「じゃあ、僕は行くからね。」

「あ…ピーター!」



ピーターは微笑みながら手を振り、駆け出して行った。
ローブを呼ぶ声は、さらに近付いて来る…
ローブは、ピーターの後姿に気を引かれながら、高い塀から飛び降りた。


- 121 -

しおりを挟む
コメントする(0)

[*前] | [次#]

お題小説トップ 章トップ

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -