しばらくして、クロードと老人が部屋に戻った。

「先生、どうだった?」

「今、少しお話してたんですが、やはり彼はここには置いとかない方が良いでしょう。
然るべき施設で、治療を受けた方が良い。」

「しかし、わしにはそんな金は…」

「そうだわ、ブランドンさんに頼んでみてはどうかしら?」

「そうだな、それが一番良いかもしれないな!」

「ブランドンさん?それはどなたのことなんです?」

リュックとクロワは、老人にブランドンの孤児院のことを話した。
今はまだいないが、いずれはいざという時のために医師を駐在させることをブランドン達は計画していた。
本格的な治療は無理でも、シスター達も一応の医療的知識は知っている。
そのうちに医師も決まることだろう。

クロードに聞いた所によると、ピーターは狭い所にずっと閉じこもっているためか、筋肉や発育の遅れが著しく、内臓の働きも良くないらしい。
精神面はクロードの専門外だが、治療をすれば今よりはきっと状態は良くなるだろうとの見解だった。



「本当に、金がなくてもそこでピーターのことを診てもらえるのですか?」

「あぁ、大丈夫だ!
俺が話をつけてやるよ。
爺さんも一緒に行くと良い。」

「わしが…?
そんなことは出来んじゃろう…
ピーターを診てもらうだけでも申し訳ないのに…
それに、わしにはここの花の手入れがあるからな…ここを離れるわけにはいかんのじゃ。」







次の朝、私達は荷車にピーターを乗せ、ブランドンの孤児院を目指して出発した。
花のことが気になると老人が言うため、私が家に残る事になった。
いつもこれといって役に立たない私でも、花の水やリくらいは出来る。
ピーターは、牢の外へ出るのを嫌がった。
言葉にならない叫び声をあげて暴れるピーターにクロワが薬の飲ませ、眠った所をやっと荷車に運び込んだ。



一人っきりになるのは久しぶりのことだ。
私は、誰もいない部屋の中を見回した。


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