「ステファンにしてみたら、クロワさんがブランドンと結婚してくれたら一番嬉しいことだろうけどな。」

「リュックさん、僕はそれだけは大反対ですよ!」

「あ…そうだったな。」

クロードの本気とも冗談ともつかない一言に、私達は声をあげて笑いながら次の町を目指した。



「それにしてもこのあたりはえらく荒れた土地だな。」

「そうですね。
このあたりで何かあったんでしょうか?」

ブランドンと出会ったあたりをしばらく越してからというもの、草木もまばらな荒れた土地が延々と続いているのだ。
この先の町まで遠いということは聞いてはいたが、その間隔は思った以上に遠かった。
空が茜色に染まっても、町らしきものは一向にみつからず、あたりには荒涼たる大地が続くばかりだった。



「こっちじゃなくて、シスターキャロルの孤児院の方角へ行った方が良かったかもしれないな。」

「でも、あっちの町へ行くよりはこの先の町の方が賑やかだってことだったわよ。」

「でも、この分じゃ今夜はきっと泊まる所もないぜ。」

「大丈夫よ。
私はそんなの慣れてるから平気よ。」



空の色がさらに変わり始めた頃、私達の行く手に一軒の家が姿を現した。



「あ、家があるぜ!」

「家の周りにあるのはなにかしら?」

クロワの言う通り、その家の周りには何色かの色が塗ってあるように見えた。



「あ、花だ!」

家に近付くにつれ、それは家の周りに作られた花壇の花だということがわかった。
様々な花を使って、それらがまるで絵を描くかのように植え込まれている。

家に着いた頃には、あたりはずいぶんと暗くなっていたためよく見えなかったが、明るい陽の下で見ればその花壇はきっと見事なものだろうと思えた。
私達は、無理を承知でその家に一夜の宿を求めてみることにした。
素朴な木で作られた扉を叩くと、中から顔をのぞかせたのは小柄な老人だった。


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