「シスターキャロル!」

「あぁ…クロワさん…」

「あの…今、お話してもよろしいですか?
もし、ご都合が悪いようでしたら、後にしますが…」

その場のおかしな雰囲気に、クロワは口篭もった。



「おじちゃん、僕も一緒にする!」

クロワと一緒に部屋に入って来たステファンが、ブランドンの膝に座ってそう言った。



「一緒に…?何を一緒にするんだい?」

「ブランドンさん、今、そのことでシスターキャロルにおうかがいに来たんですが、もうじきお誕生日を迎える子がいるそうで、今までは同じ月の誕生日の子達が一緒に誕生日会をしていたと聞いたのですが…」

「まぁ、私ったら、どうしましょう!
バタバタしていたので、すっかり忘れてました!
そうだわ。今月はナンシーとルイの誕生日があったんだわ!」

「おじちゃん、僕も!僕も!」

「ステファン、ステファンは来月じゃないか。
来月になったらおじちゃんと一緒にやろうな。」

「あら、ステファンは来月がお誕生日なの?」

「そう、おじちゃんと同じ日!」

「同じ日?!それはすごい偶然ですね!
では、今月のお誕生日会のことは、また後ででも…
さ、ステファン、行くわよ!」

「あ、クロワさん…」

クロワは二人の間に何か深刻な話があるとでも思ったのか、用を済ませるとそそくさとその場を去って行った。



「クロワさんに気を遣わせてしまいましたね。
すみませんでした、さっきは取り乱してしまって…」

「いいえ…私の方こそ…あなたのお気持ちも考えず勝手なことばかり言ってしまって…
ブランドンさん、実は私は若い頃に子供を失っているのです。
まだ若かった私は、ただその人を好きだと言う情熱だけで子供を産んでしまったのです。
周りに味方は誰一人いませんでした。
でも、私はその子のことが愛しくてたまりませんでした。
生まれてきてくれたことにどれほど感謝したかわかりません。
……ですが、その子は生まれてすぐに亡くなってしまったのです。
これは私の罪だと思いました。
悲しくてどうしようもない気持ちになり、私はそのまま家を飛び出し神の元へ逃げたのです。
親の期待を裏切り、せっかく生まれて来てくれた子の命を守れなかった償いのために、私はこの道を選んだのです。」

「……そんなことが…
しかし、なぜ、そんなことに…?」


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