その後も孤児院への改装は順調に進んで行った。



「キャロルさん、お疲れになったでしょう?
一休みしませんか?」

「ブランドンさん、ありがとうございます。
では、お茶でも煎れましょうね。」

日当たりの良い小部屋で、ブランドンと、シスター・キャロルは温かいお茶をすすりながら他愛ない会話を交わしていた。



「子供達はもうずいぶんここに慣れたようですね。」

「ええ、ここは前の所とはあまりに違いますから、子供達も戸惑うんじゃないかと思っていたのですが、そんな心配はいらなかったようです。
子供達は素直に今の幸せを受け入れているようです。」

「前の孤児院はそれ程酷い…いや、失礼…あの…」

キャロルは、そんなブランドンに優しい微笑を返した。



「そんなにお気遣いされなくて大丈夫ですよ。
あなたは本当にお優しい方なのですね。
あなたのお陰で私達は救われました。
そして、これからもたくさんの子供達が救われることでしょう。
感謝しています。」

「ここは、ステファンの父親、フランクリンのお金で買ったものです。
ここまで来るのにもリュックさん達の世話になりっぱなしで、僕は何もしてはいませんよ。」

「でも、あなたがここを孤児院にしようと思われなければ、私達は救われることはなかったのですから…」

「それも、マルタンさんのご提案だったんです。
……実は、僕自身が孤児だったため…それで、その提案に乗ったと…ただそれだけのことなんです。」

「あなたも孤児だったのですか?!」

シスター・キャロルは目を大きく見開き、ブランドンの顔をじっとみつめた。



「……ええ……生まれて間もない頃、孤児院の前に捨てられていたそうです。」

「……まぁ…」

「僕は、親から捨てられた子供なんです。
産着は上等なものだったらしいですが、僕は親に名前さえもらえなかった…
どういう理由があったのかわかりませんが、僕の親はよほど僕のことが邪魔だったんでしょうね…」

「そんなことありません!
我が子を邪魔に思う親なんているはずがありません…!」


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