「マルタン、あんたもそう思うか?」

私はリュックの言葉の意味を理解して頷いた。
ブランドンには、すぐに戻って来ると言い残し、私達は早速、外へ飛び出した。
もちろん、向かったのはあの馬鹿でかい屋敷だ。
その外観は、実に異国の宮殿風だ。
私達は、ブランドンの探してる屋敷がここではないかと見当を付けたのだ。



「え〜〜っと…あ、いたいた!」

屋敷の傍で、たまたま通りがかった夫婦連れに、リュックは駆け寄り声をかけた。



「あんたら、この町の者かい?」

「そうだけど…なんだい?」

「あの屋敷の持ち主の名前を知らないか?」

「あそこは…なんだったかねぇ…」

妻の方が夫に視線を投げ向けた。



「たしか…ジョーンズじゃなかったか?」

「あぁ、そうだ、そうだ!
確か、ジョーンズ邸だった筈だよ。」

「ジョーンズ…そうか…
ありがとうな。」

残念ながら私達の思惑ははずれてしまった。
……だが、次の瞬間、私の頭の中にある記憶が思い出された。



「すみません。
そのジョーンズというのは商人の苗字でしょうか?
それとも、元々の持ち主の貴族の…?」

「貴族…?そういえば、あそこは元は貴族の屋敷だったんだね。
私達は詳しいことは知らないけど、あそこのルーカスさんに聞けば詳しいことを知ってると思うよ。
でも、なんだい…もしかして、あんた達、あそこを買うつもりなのかい?」

「いえ…そういうわけではないのです。
どうもありがとうございました。」



私達は、教えてもらったルーカスの家を訪ねた。
ルーカスは年配の男性で、あの屋敷の管理は、今はルーカスがすべて任されているとのことだった。



「あぁ、あそこは元々はローザンっていう貴族のもんだよ。」



ついに、ブランドンの捜し求めていた屋敷がみつかったのだ。


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