「ゴールド!」
「リナか……。どうやらこいつが中継点(アンテナ)だったらしいぜ……」
「ええ……」

ギャラドスのハイドロポンプ≠避けてから、予想通りの言葉がゴールドの口から出た。

「くっそー! なるべく傷つけたくねえがしかたねえ!」
「待て! ゴールド!!」

リナに続いて、シルバーも赤いギャラドスの元へとやってきた。

「こいつらは野生だ!! そいつを『捕獲』しろ!! そうすれば中継点(アンテナ)としての役目も消える!」
「そうか! わかった!!」
「まずは動きを止めなきゃ!」
「分かってる!うずしお!!」
「ナイス! クレール、電磁波=I」

ニョロトノの渦潮≠ナギャラドスの動きは止められ、ランターンの電磁波≠ナ動きはのろくなり、行動範囲はかなり狭まる。

しかも捕獲もかなり楽になる。これで高確率で捕獲出来る。

だが、ゴールドとリナの場所はギャラドスから離れていて、ボールを投げても届かない。

「ここからじゃ届かねえ!!『捕獲』はおまえにまかせるぜ!」

二人が出来るのはここまでだった。

後はシルバーに託すしか無い。

シルバーはヤミカラスに追い討ち≠命令した。

電磁波≠ナかなり捕まえやすくなっただろうが、渦潮≠セけのダメージでは少し頼りなかった。

「モンスターボール!!」

上空からモンスターボールを投げれば、ギャラドスはなんの抵抗も出来ずにボールに収まった。

「やった!!」

そしてその色違いのギャラドスはシルバーの手持ちとなったのである。

怪電波も収まり、赤いギャラドスという中継点(アンテナ)のせいで強制進化してしまったギャラドス達は湖へと帰っていった。

「おー、やつら湖に帰ってくぜ。ま、なんとか一件落着かな」
「そうね……」

強制進化させられたギャラドス達は、最初こそ慣れない体に戸惑うだろうが、きっと大丈夫だろう。

「なにしてんだ? シルバー」
「さっきの怪電波の波形を記録した。これで別にある発信元をつきとめてたたける!」
「おー、なるほど!」

ゴールドは関心したような声を出すが、リナはポケギアにそんな機能があったのかと唖然とすり。

結構便利なのね、アンタ。と思わず心の中で問い掛けてしまう。

「それにしても、一体誰がなんのために…。人工的にポケモンの進化なんか…」

言ってから、心当たりがあるのか「まさか…エンジュの時のように…」とブツブツ呟いている。

リナにも心当たり位ある。

三年前、姉のポケモンのイーブイ  今はシャワーズ  は、ロケット団によって三種類の進化系に進化出来るように改造させられかけたらしい。

「レッド君」の手持ちに改造された方のイーブイがいた気がしたが、姉以外の事には興味が無いので覚えているはずが無い。

シルバーがブツブツ呟いているゴールドを見ていたが、しばらくして口を開いた。

「ゴールド、それとそこの女。これが最後の忠告だ。これ以上オレに関わるな」

そこの女扱いされてしまった。

確かに自己紹介なんてした覚えは無いが、だからといってその呼び方はどうかと思う。

「今、オレが調べている敵…、それはエンジュで戦ったR団残党とはくらべものにならない程の相手だ。中途半端なおまえがいてもジャマなだけ!!」

R団残党とは比べ物にならない程の相手  ある男が頭にちらつく。

きっとそれは正解だろうが、その男を自分が知っているという事は絶対に言わない。

もしかしたら、時がくれば必然的に言わなければいけない時がくるだろうが。

「関わるな? ヤだね!」
「なに!」
「もしロケット団の連中がらみなら、オレだって無関係じゃねー! ワカバ、アルフ、ヒワダ…全部許せねーからな!」
「わたしだって無関係じゃないわ。確実に。アンタが知らないだけで、ね」

二人がそう言うと、シルバーはその銀色の瞳をギラリと光らせ、ボールを構えた。

「帰らないというのだな」
「お? やるか? かまわねーぜ。さっそくだがリターンマッチといくか?」
「わたしだっているわ。絶対負けない自信があるし」

現在シルバーの手持ちは七匹中三匹が水タイプだという事を知っている。

だったら、六匹中三匹が電気タイプであるリナは有利だ。

「オレは自分の意思で行動を決める! てめえの都合なんか関係ねえ!」

その時だった。

ドクン、と体中の血液が危険信号を鳴らすように、流れ始めた。

ドクン、ドクン、ドクン  

心臓が忙しなく鳴り、冷や汗が止まらない。

前にもこんな感覚を味わった時がある。

多分、今では微塵も怖くは無いのだが、昔の記憶は体にありありと残っているから、反射的な物なのだろう。

「なんだ!? 霧!?」

そんな時に、霧なんて出るものだから、確信するしかなかった。

「この霧は…どこかで…」

ゴールドも以前に一度だけ、会っている。

「! まさか!」

それに気付いたのか、汗を一筋だけかきながら、金の瞳を微かに見開かせる。

すると、リナにとって最も嫌いな笑い声が聞こえてきた。

機械で変えられた、暖かみの欠片も無い声。

『フッフッフ。フッフッフッフッフッ』
「ヤツは!!」


そう  仮面の男だった。



中継点は旅の中継点となり
(嗚呼、)
(憎らしい)


140112

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