そんな時に、ポケギアの音が、辺りに鳴り響いた。

誰だろうかと思っていると、それはレッドの懐の物だった。

とはいえ、それはエリカの物なのだが。

だがレッドは人の物なのにも関わらず、電話に出た。

「もしもーし、もしもし?」
『そ、その声もしかしてレッド!?』
「……………え?」

彼の手にあるポケギアから聞こえたのは、聞き覚えがあるなんて物じゃない。

昔からの顔馴染みである  

「ありゃ? その声、カスミか!? おーい!!」
(カスミが電話の相手……? あれ、あれれ? なんで私、こんなにもやもやしてるの? あれぇ!?)

レッドとカスミの電話に、なぜかもやもやしてしまう自分が分からなくて、ルナは百面相する。


「ねぇ、見た? アレ」
「ああ、バッチリ、な」
「何アレ! まさかお姉ちゃん、アイツの事……ひぃぃぃぃ」
「おいおい、大丈夫かよ……」

先程よりも絶望したような顔で、真っ青になるリナ。

ゴールドはちょっと心配になる。なんで、って。あれ位絶望されていた自信がてんで無いからだ。

嫉妬? いやいや、まさか。らしくない自分の頭を掻いた。

「ルナさん、自分の気持ちに気付きますかね?」
「アラ、イエローも興味あるの?」
「えへへ……まぁ」
「本当面白いわよね、この混戦模様」

イエローとブルーが少し悪っぽく笑う。

「迷うようなら、『いっそみんなで一緒に暮らし』たらどうかしら!!」

ほーほっほっ、と高らかに笑うブルーに、三人が「どき!」と顔を真っ赤にする。

本当にブルーは楽しそうだった。

その様子を見てもっと絶望したリナは、ゴールドをひっぱたいた。

「痛っ!?」
「ね、ね、ね、アレなんとかしてよ……」
「あぁん? ……しゃーねえな、助けてやっか(リナを)」

腕に付けていたポケギアから、母親の電話番号を選ぶ。

そしてレッドとルナの間を割って入った。

「あーもしもし! かあさん? オレだよオレ、ゴールド!! オレオレ詐欺? かあさんテレビの見すぎだっつの」

そんな事を言いながら、ゴールドはレッドの腕を掴んで、わざとらしい位に声を出した。

「実はよォ、もう少し帰んのが遅くなりそうなんだ!!
 今、横に前回のリーグ優勝者っつー人がいてよ、その人にポケモンバトルを教わることになったから!!」

レッドはゴールドの話に、驚いた風にゴールドを見ていた。

「かあさんの手料理、グレン風火山ハンバーグ、帰って食うの楽しみにしてっから、もう少し待っててくれ!
 以上!!」

一気に言い終えると、有り得ないスピードで駆け出して行った。

つまりは  逃げた。

それに対してルナはしょぼーん……としていた。

分かりやすすぎて溜め息を吐く気すら起きない。結局溜め息を吐いたが(それしか方法が無いから)。

「お姉ちゃん! 追うよ!!」
「ええ!?」
「ほら、早くロコ出して!」
「う、うん……」

なんだかいつもより強引で、誰に似たんだろうかと思ってしまう。

言わずもがなだが。

「リナ! たまに連絡頂戴ね!」
「わかったわ、またね、クリス」
「うん!!」

ルナとリナは、キュウコンに乗ってゴールド達を追って行ってしまった。

ブルー的には面白いのはここからだ、と微かににんまりしてイエローを見た。

(ほーら、あんたも頑張りなさいよ)
(え、ええ!? な、なななな何をですか!?)
(……イエロー、本当分かりやすいわよね)
(そ、そうですかね?)
(いいから、ほら!)
「わっ!!」

こそこそ話をしていたブルーとイエローだったが、イエローがブルーに押された事により、イエローは転びかけてしまう。

  が、それは転びかけたというだけで、転ぶ事は無かった。

目を堅く瞑っていたイエローは、恐る恐る目を開けると、誰かの温もりがそこにはあった。

「リ、リュウさん!!」
「大丈夫かよ? 気を付けろよ?」
「え、えと、あの、これは……!」

お姫様抱っこ、という物では無いか、と思いきり動揺する。

というか、近い。

「ちょ、ちょっとリュウゥゥ!!」
「ごはっ!! ……っなんだよ!!」

イエローを抱っこしたまま、リュウは自分を攻撃したナナを怒鳴る。

明らかに怒ったような顔をして、ナナは顔を赤くしていた。理由はそれだけじゃないが。

「あ、あたしに黙って、な、なななんて事……!」
「なんでお前に言わなきゃいけないんだ……」
「だ、だ、だって、あたしは! リュウの……その、夫婦仲だし……」
「夫婦漫才って言われただけだろ……」
「うううううう……」

どうしてこうもアピールを流されるんだろうか、どさくさだからだろうか。

いいや、絶対にド鈍感なだけだろう。

「と、に、か、く! リュウはあたしのなの!!」

ぎゅむぅっ、と抱き着くナナ。胸を当てているのはわざとだ。

わざわざこんな露出を、苦手にも関わらずしているのは、リュウに振り向いてもらう為だ。

まっっったく、振り向くどころかこちらを見てもくれないが。

「オレは物じゃないんだけど……」
「そういう解釈しないの!!」
「あっ、あのっ!! ボ、ボクのっ……で……す……」

イエローは勇気を振り絞るが、恥ずかしすぎてパンクしそうだった。

その様子に、リュウは疑問符を浮かべ、ナナは対抗心に燃えていた。

つくづくブルーは思う。

三角関係ほど、楽しい物は無いわね、と。


# # #



「どうです? ナイス連れ出しだったでしょ……ってぇ!!」

スケボー型の自転車に乗りながら、ぎゅるん、と後ろを向いた。

「なんでおめえ、いんだよ!! なんとかしろ、っつったのおめえだろ!!」
「だからって、連れ出してお姉ちゃんを悲しませろなんて言ってないわよ」
「んなの無茶苦茶だろー!!」
「それに……コレ、返してないし」

コレ、とはゴーグル付きの帽子だった。

未だにリナの頭にある。

「あー……そういや、そうだったな」
「……返すわ」
「いい、持ってろよ」
「は、はぁ? い、いい、いらない!」
「って言いながら、スゲー離したくないように抱き締めてんスけど?」
「え」

無意識だった為に、リナの顔が一気に真っ赤になっていく。

「ち、ちが、別にそんなんじゃ無いんだから!!」
「へいへい」

明らかにツンデレなリナに、少しの満足感を感じながら「ところで」とレッドに切り出す。

レッドはルナと一緒に微笑ましく見ていた為、身を引くが。

「どこでバトルを教えてくれます?」
「ほ、本当にやるのか?」
「ったりめーじゃないですか。あんたに習えば、あのバカシルバーに勝てるよーになっかもしんねえ!
 でしょ!?」
「そ、そうか、そうだなあ。じゃあ、シロガネ山はどうだ?
 オレが傷を治した場所で、強い野生ポケモンがたくさんいる。修行にはもってこいだ!!」
「ふ〜ん、シロガネ山!!
 いいッスね! レッド先輩!!」

ゴールドが笑うので、つられてレッドも笑顔になる。

「ルナー!」
「う、うん?」
「ルナも行くのか?」
「うん! 私だって、強くなりたいから!!」

追って来た理由こそ、成り行きだったが、その二人の会話を聞いて、修行をヤル気になってしまったのだ。

「危ないぞ? 止めて置いた方が……」
「大丈夫! リナだって、レッドだって、ゴールドさんだっているんだから!!」

両手で拳を作って、ムン、とやる気を見せつけると、レッドは笑ってしまう。

それと同時に、しょうがないなぁ、と折れた。



「よっしゃあ、行くか!」



永遠に続く協奏曲
(終わる事は無く)


20140201


RED
GREEN
BLUE
LUNA
   ・
YELLOW
   ・
GOLD
SILVER
RINA
   &
CRYSTAL



Fin




TRAINERS DATA
*RED*
フッシー♂Lv72
ニョロ♂Lv70
ピカ♂Lv85
ギャラ♂Lv74
ゴン♂Lv86
プテ♂Lv76
BOX MEMBER
ブイ♂Lv65
ディグダ♂Lv23
サンド♂Lv21
ニドリーノ♂Lv42
*GREEN*
リザードン♂Lv81
ハッサム♂Lv80
ポリゴン2Lv61
ゴルダック♂Lv79
サイドン♂Lv71
ピジョット♂Lv76
BOX MEMBER
キュウコン♂Lv68
カイリキー♂Lv70
ナッシー♂Lv67
フーディン♂Lv64
ウインディ♂Lv71
*BLUE*
カメちゃん♂Lv70
ぷりり♀Lv57
メタちゃんLv40
ピッくん♂Lv60
ニドちゃん♀Lv59
ブルー♂Lv22
BOX MEMBER
ケーシィ♀Lv15
*LUNA*
ロコ♀Lv70
チュカ♀Lv80
エヴォ♀Lv66
ハピ♀Lv59
ゲッコウ♂★Lv91
ワッタ♂★Lv28
BOX MEMBER
サン♂Lv49
ゴンちゃん♀Lv58
*YELLOW*
チュチュ♀Lv31
ラッちゃん♂Lv25
ドドすけ♂Lv33
オムすけ♂Lv42
ゴロすけ♂Lv39
ピーすけ♂Lv20
*RYU*
ヒカリ♂Lv88
ヒエン♂Lv81
パンチ♀Lv70
コスモLv78
ハナヒラ♀Lv76
ツバサ♂Lv84

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