「ハナヒラ!」 「クローバー!」 ハナヒラという名のラフレシアと、クローバーという名のオオタチが出てくる。 因みに、なぜナナがオオタチを持っているかというと、やはり一年前の理由とまるっきり同じだった。 加えて、名前もまた、花言葉を無意識に心境をポケモンの名にしている。 クローバーの花言葉は、勤勉、幸運、そして幸福な愛。 きっと理由としては一番最後の意味なのだろうが、相変わらず、少し、重い。 一瞬にして理解したリナは苦笑いを通り越して引いてしまう。 だが、隙を見せては御仕舞いだ。 何も考えない事にして、ポケモンを選んだ。 「フルート、下がって! シャルフ、アルダ!!」 ラフレシアに弱いマリルリを下げて、サンダースとデルビルを出す。 「クローバー、日本晴れ=I」 「ハナヒラ、ソーラービーム!!」 「ッく……シャルフ、押されるな、雷!! アルダはその隙に火炎放射!!」 オオタチが日本晴れ≠使った事によって、溜める事無く発射されたソーラービーム≠ノ、少し気圧されながらも二匹に命令した。 サンダースは、ソーラービーム≠ノ負けない位の雷≠放つ。命中の低い技だが、サンダースは技を確実に当てる事が出来るので問題は無い。 尚、その隙を突いて、デルビルが火炎放射≠オオタチに向かって放つ。 今は日本晴れ≠フ効果で、炎タイプの技は格段に上がっている。避けられなければ恐らく致命傷だ。 「ハナヒラ! 負けるな!」 「クローバー、避けて!!」 ラフレシアはリュウの言葉に、力をより一層込め、オオタチの方は避けようと必死になる。 しかし、ほんの一瞬で、それは一気に片がついてしまう。 一瞬前まで、ラフレシアが押していたというのに、雷≠ノ押されてしまい、ラフレシアは吹っ飛んだ。 そして、オオタチは向きが変わった火炎放射≠ノよって目を回してしまう。 ナナは目を見張ったが、リュウは考え込むように顎に手を当てた。 「な、何よ、今の!?」 「………奏でる能力=v 「!」 リュウの言葉が信じられなかった。 なぜなら、そんな様子も、音も聞こえなかったからだ。 「……別に、奏で≠轤黷黷ホ、どんな方法でも良い。そうだよな?」 「ええ。ただ、音源や音の調節が違えば、効果もガラリと変わっちゃうけど」 そう言いながら、パチンと指を鳴らしてみせる。 先程、一瞬で片が付いてしまったのは、指を鳴らしたからというだけなのか。 まさか指を鳴らすだけにも、色々な調節のような物があるなんて思いもしなかった。 これが 「それにしても、よく聞こえたな、ポケモン達は……」 「まぁ、いつだって5感を使うのを絶やさないように言ってるから」 「はぁ。なるほどなぁ」 「ちょっとリュウ! 感心してる場合!?」 「分かってるって」 二人はラフレシアとオオタチをボールに収め、次のポケモンを構えた。 リナはどちらとも無傷なのでボールには収めない。 「ツバサ!」 「ツバキ!」 ツバサのカイリュー、そしてペルシアンのツバキだ。似たような名前の二匹なのは本当にたまたまだ。 「ツバキ猫騙し=I」 真っ先に素早いペルシアンがサンダースに突っ込んでいき、猫騙し≠する。 これは絶対に怯んでしまう技だ。 しまった、と思った時にはもう遅く、サンダースは問答無用で怯んでしまった。 そして怯んでしまったら、サンダースにあの技≠ェ来てしまう。 「アルダ!! カイリューに噛み砕く!!」 だが、遅かった 「ツバサ。 破壊光線=v そう、なんの躊躇いも無く、破壊光線≠ヘサンダースにまともに浴びせられた。 サンダースは目を閉じたまま空を舞う。 「シャルフゥゥゥ!!」 すぐに地を蹴り、サンダースを受け止めた。 「アーラ、そんな事してて大丈夫? ツバキ、デルビルに切り裂く!!」 「アルダ!!」 リナが離れている内に、デルビルがペルシアンに切り裂≠ゥれる。 デルビルは致命傷にはならなかった物の、ふらりとふらつく。 「躊躇の無さこそが強さ。 そう、教えられてきた」 無機質な漆黒の瞳で、そう呟くように言われる。 教えられてきた、というのは、きっと仮面の男にだろう。 確かにそうかもしれない、否、そうなのだろうが、 なぜ、そんなにも無機質な瞳をしているんだ。 「躊躇の無さ……ね、そうかもしれないわね」 サンダースを抱き締めながら、消えうるような声で呟く。 「アルダ、行ける?」 ふらつく体をしっかり地に付け、デルビルは それを見たリナは、にっと笑った。 「ポケモンに無理をさせるなんて……貴女何考えてんのかしら」 「躊躇の無さ、それが強さなんでしょ。……それに」 パチン、と指を鳴らすと、デルビルは炎を体に溜めたかのように体を燃え盛らせる。 「わたしは兄弟≠信じてるから」 デルビルは一番レベルが低いが、激しく燃える炎は、どんな炎タイプにも劣らない強さを持っている。 「アルダ、もう一度火炎放射=I」 火炎放射≠ヘ、先程よりも強力な物として、デルビルの口から放たれた。 その火炎放射≠ヘ迷う事無く、ペルシアンへと向かってくる。 「ツバサ、前に立ちはだかれ!」 カイリューはドラゴンタイプ。炎の技は効かない。 ペルシアンの前へ立ちはだかるだけで、火炎放射≠ヘ無効になる。 強気なカイリューがフフン、と得意気な顔をした時、火炎放射≠ヘ下へと路線変更した。 そして、火炎放射≠ノよって地は崩れ、カイリューとペルシアンの足場を崩した。 その足場は先程、マリルリが穴を掘った¥齒鰍ナ、見事に二匹はハマってまう。 「何!?」「穴!?」 二人が驚いている内に、リナはもう一度火炎放射≠するようにいう。 二匹がいる穴の中に火炎放射≠放った事により、地は熱を帯び、より一層炎を強くした。 それにより、二匹は戦闘不能となった。 「まさか穴を使うとはな……」 「穴の存在なんて忘れてたわよ……」 リュウとナナの言葉に、リナはふっと笑みを浮かべ、いつもの言葉を言った。 「わたし、天才だから」 無機質な水晶体に映る物 (それは 20140130 ←|→ [ back ] |