はてさて、どうした物かと、ルナは腕を組んで考え込んでいた。

今更ながら愚問だが、どうして自分という人は鳥ポケモンを手持ちにしなかったのか、疑問に思ってしまう。

やべぇ、超不便じゃん……とか思う訳である。

「この辺りって、鳥ポケモンいるのかなぁ」

大体、いたとしても、ルナは捕獲が大の苦手だ。本当に、某ウニ頭さんが溜め息を吐いて低い声で怒る位に、苦手だ。

「でも、為せば為る、と言いますからね! とりあえずやれるだけやってみよう!」

元気に拳を天に突き上げると、ブラッキー達が元気に鳴いてくれる。

丁度、ピカチュウが手持ちから抜けた事により、空きがあるのだ。都合は良い。

「さぁてっ! 鳥ポケモンさん出てきてくださーい!」

バタバタと草むらに入るが、約5分後に絶望する事になるのだった。




5分が経過した。やっぱり絶望した。

「コ、コラッタと、スリープと、ケーシィ、メタモン……」

鳥ポケモンどころか、ジョウトだけのポケモンもいなかった。これには絶望だ。

最早メタモンを鳥ポケモンに変身≠オて貰おうとか思って、脳内でブルーに話し掛けると、

『無理よ、メタモンは姿は真似られても、能力は変わらないもの』

デスヨネー。がっくしと頭(コウベ)を垂らした。

「だったらどうすれば……」

草むらの外に出て、きょろきょろと辺りを見渡すと、ふと、岩影に白いふわふわが見えた。

まるで、綿毛のような  

ルナは気になって、そちらへ歩みを進める。

その時の足音に反応して、綿毛がぴょこんと、姿を現す。

それは綿毛では無く、ポケモンだった。

ジョウトのポケモンのようで、うっかりルナは名前を脳裏に浮かべる事が出来なかった。

だが、桃色の体で、両手と頭に綿毛が生えていて、実に可愛らしかった。

「あ、ちょっと……!?」

まるで来て欲しかった人では無かった、という時の反応のように逃げ出そうとする綿毛(仮名として)。

ルナは手を伸ばし、優しく、綿毛を掴んだ。

すると、恐る恐る向けられたのは、泣き顔だった。

「……どうして、泣いてるの?」

こちらまで悲しくなってしまう。

「……泣かないで……」

優しく、囁きながら、抱き締めた。

貴方に危害は加えないよ、絶対に。そう、伝えるように。

綿毛にそれが伝わったようで、涙だけは引っ込ませてくれた。

それでも、浮かない顔だった。

「……どうしたの?」

問いかけると、綿毛はジェスチャーでこちらに訴えかけてくる。

なんとか少しずつ、分かって≠「く。

「人を、探しているの?」

コクン、と頷かれる。

「女の子?」

また、コクン、と頷かれる。

それだけではどうにも分からない。ルナは顎に手を当てて、どう聞こうか悩んだ。

聞き方も気を付けないと、ポケモン達には伝わらないのだ。

「特徴、は?」

すると、自分を指差され、左側に結った髪を、右側に移動するというジェスチャーをしてきた。

つまりはルナの反対に髪を結っている少女、という事になる。



……どうしよう。心当たりがあり過ぎる。



「えーと、外側に跳ねてる? 髪」

またまたコクン、と頷かれる。

ビンゴだった。

(リナの事だ……だけど、なんで?)

リナが捕獲したのだろうか。でもそれだったら置いていくはずは無い。

捕獲しようとして、逃げられたのか。それだったら探す必要は無い。

一体どういう事なのだろうか。

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