「巨大な力」を持つポケモンは、イエロー、イエローのおじ、ルナ、クリスタルが乗る舟をも浮かせていた。

どこかに掴まらなければ、振り落とされそうだった。

あの渦にいたポケモンの正体はこのポケモンだったのだ。



アクア号に乗っている船乗りは、振り落とされる心配は無かなかったが、怖さで震えていた。

「ぎゃああああ! 少佐ァ〜〜、助けてくださ〜〜い!!」

情けなく聞こえるが、当然だった。

こんなアクシデントに慣れていない人は普通はこういう反応だろう。

「巨大客船やまわりの小船が風船みてえに空中に!!」
「あのポケモンの…念力でか!?」

いつのまにか、自分の荷物に手をつけてゴールド達は装備完了していた。

先程、男が手につける前に情報をよこせ、と言ったが今はそんな場合では無いのだ。

「エスパーの力…、あれは…!」

シルバーが驚いたように銀色の目を輝かせた。

ルギア!!

ジョウトに伝わる伝説ポケモンの内の一匹だった。

潜海ポケモンと呼ばれている、海の神様だ。

その海の神様であるルギアが、空気を吸い込み、光線のような物を口から吐き出した。

しかも、それはゴールド達の場所に向かってだ。

「うわわ!」
「おおお!!」

光線は洞窟から少し突き出していた足場を崩した。

浮いていた男と、伏せていたゴールドはともかく、シルバーとリナは光線を跳んでかわしたのは、もう人間業では無かった。

「く!!」
「ッ!!」
「ちぃ!!」
「くっ!!」

四人は下へと落ちた。

落ちたと言っても、シルバーとリナは上手く着地し、男はレアコイルのトライアングルに守られながら落下し、ゴールドだけはまともに尻から落ちたのだが。

「くそっ、オレのアクア号を!! この近海で発生していた大きなうずも、あのポケモンのしわざか!?」

ルギアは海の向こうの沖  つまりゴールド達がいる場所を睨み付けた。

何をするかと思えば、ルギアはアクア号と、小型船をそちらに向かって投げるように飛ばす。

その飛ばされたアクア号は沖近くの海へと突っ込み、その勢いで波を発生させた。

「うわわわ」
「やべえ!!」

このままだと波はこちらへやってきて、溺れてしまう。

「ヤミカラス!!」
「あ! てめえ、1人だけ!!」

シルバーは礼の如く、ゴールドを置いてヤミカラスで飛んでいく。

お前は大丈夫だよな、という目で見てくるゴールドに、リナはレディアンを出した。

そして、そのレディアンは丸い六本の手でリナの背中にくっついた。

丸い六本の手は、吸盤のようにリナにくっつき、エネルの名の通り力強く羽ばたき、大空へ浮上した。

「おめえもかよ!! つか、虫じゃねぇか!!」
「別に鳥ポケモンだけが飛べる術を持ってる訳じゃないもの」

そう言って、ルギアまで飛んでいく。

後ろでゴールドがぎゃーぎゃー何かを言っているが気にはしない。

リナはシルバーの後へと続いて、空を駆け抜けた。

# # #



自分の乗っている船の上空に、リナが駆け抜けているとは知らずに、ルナは小型船に振り落とされ無いように掴まっていた。

ルギアによって投げられたのはアクア号だけでは無い。この小型船もだ。

そして、アクア号が投げられた時に発生した波によって、小型船であるこの船は激しく揺れていた。

「なんてことだ!! イエロー! ルナちゃん! おじょうちゃん! 大丈夫か!?」
「だ……いじょうぶ、です、がぁ」

波乗り≠ヘ慣れているが、こんな激しく揺れた船なんて慣れていないルナは絶賛船酔い中だった。

ピカチュウが頑張ってさすってくれているが、結構、辛い。

「あれは…、あの姿は!」

ルナはあんなポケモンは知らなかった。

元々、カントーのポケモンは全て把握しているが、ジョウトのポケモンまでは全て把握してはいない。

ただ思った事は、凄く神々しくて、カントーの三匹の鳥ポケモンを思い出される。

「あの時のポケモンだ!!」
「あの時って、うぷ、まさか!」
「ハイ! スオウ島を飛んでた…まちがいない!!」

イエローがジョウトに来た切っ掛けの、スオウ島で見た謎の鳥。

ワタルの  切り札。

「あの時って!?」
「ワタル戦の時です!! 西(ジョウト)のほうへ消えたという話だったけど、本当だったんだ!!」

その時、どこからかピピピという機械音がし始めた。

「あなたのカバンから音が!」
(あれ……この音って)

クリスのカバンからする音だった。

それに気付いたクリスは、自分のカバンを開けて確かめると、そのカバンの中にあった図鑑が発する音だった。

「本当だ! わたしの図鑑が鳴ってる!!
 でもなぜ!? こんな機能知らない! 故障かしら!?」
「違います! それは『図鑑の共鳴音』です!」
「共鳴音!?」

ルナはこの図鑑の機能を知っていた。

「はい! 前の図鑑にそういう機能がありました!『図鑑が3つ集合し、さらに正しい所有者の手にあるという条件で共鳴音が発せられる』という機能です!」

それをクリスに伝えてから、ピカチュウが不思議そうな顔をしていたからなんだと思ったら、先程まで船酔いしていたのに今は平気だからだという事が分かった=B

分かった瞬間に一気に意識してしまい、うぷ、と気持ち悪くなる。

だが気持ち悪くなっている暇なんて無かった。

ルギアがこちらに向かって光線のような物を吐き出したのだ。

避ける術なんて無く、あえなく小型船はその光線を食らってしまった。

「うわわわ、船があ!!」
「真っ二つになってしまいました!!」

船の穂先の部分に乗っていたクリスだけがイエロー達と分離してしまう。

「あっ、クリスさんが!」
「クリスさぁぁぁあん!!」

こんな荒海ではジュゴンもシャワーズも出すのは不可能だ  

ジョウトの図鑑所有者が集まってるかもしれないという事は、あの子もいるかもしれない。

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