「…う。うーん…」
「! イエローさん!」

どうやらイエローも目を覚ましたようだ。

「ここは…海の底? …? いきが…できる。……? 助かったのか!?」
「目を覚ましましたか?」
「あ!? ルナさん! え、あれ、さっきは人魚だったような、あれ!?」
「お……落ち着いてください!」

イエローは目をぐるぐるにして、挙動が不審になる。

そんな時、メノクラゲがイエローに擦り寄った。

「キミは…さっきの。ありがとう、ボクが助けられちゃったね」

さきほどルナがやったように、イエローもメノクラゲを撫でた。

その時、何か輝くものが目に入る。

「これは…『進化のいし』!?」
「です、よね」

見た目は通常の進化のいしと同じみたいだ。

「! これは…『リーフのいし』みたいだけど…」
「そう、ですね」
「1つしかない。残りの3つ、『ほのお』、『みず』『かみなり』が…消えてる!!」

そう。イエローが言った通り、リーフの石の周りは他の石があったと思われる窪みがあり、他の三つは無くなっていた。

「ニョロゾを進化させた『いし』も…なくなっちゃったか」

少し残念そうにするイエローの肩を叩き、上を指差した。

イエローは少し目を見開く。

「でも、まあいいや。こんなステキなところへ来られたんですもんね。ここが伝説のクチバの海底ドーム、か…」
「綺麗、ですね……」
「はい!」

上を見ると、水族館のように海の中にいるメノクラゲ達を見る事が出来た。

それはまさに眼福で……。言葉に出来ない位綺麗だった。


◆ ◆ ◆



「なんと! 言い伝えの場所はやはり存在しておったと!? おまけに4つの『いし』のうち3つがなくなっておったと〜!!」

海でわかった事を会長に伝えると、物凄い大声で叫ばれた。

自分がこっそりいただこうとしていたのに、と悔しがる会長に気付かずイエローとルナはハテナを浮かべた。

イエローが、石が誰によって引き上げたかを考えている中、ルナは確信めいた考えが心の中にあった。

(『いし』を持っていったのはレッドくんだとしか考えられない。でなきゃ、イーブイが唯一使わない『リーフの石』が残るわけが無い。それにレッドくんのイーブイは……)

その後、会長が海に飛び込み、ドククラゲに投げ捨てられた事なんてイエローとルナは知るよしは無かった。


美しき海の造りし空間
(また行きたいけど)
(苦しい思いはなぁ)

20130101


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