優しく微笑んで、ルナが普通に喋りかけると、少し驚いたようにポカンとしている。 ふと、グリーンは淡く微笑みながら溜め息を吐く。 「まぁ、オレの下へ来たことも間違った事じゃない」 グリーンの言い方が、ルナの不安で一杯だった心を和らげてくれる。 本当に頼りになるグリーンがいてくれて良かったと素直に思えた。 ◆ ◆ ◆ これからどうするかという話になった。 グリーンのお陰で落ち着く事が出来たルナは、頭をフル回転させた。 「まずは、タマムシに向かった方が良いと思います」 「タマムシ?」 「はい。私の友達のエリカが、タマムシ精鋭軍のリーダーをやっているので、きっと情報を集めているでしょう」 オーキド博士が知っているという事は、正義のジムリーダーも知っていると考えたのだ。 グリーンがなるほど、と呟く。 「こういうのは早いに越した事は無い。急いでタマムシに向かった方が良いだろう」 「はい!」 「それと、もしかしたら……」 「え?」 「いや、これは移動中に話す」 少し不思議そうにしながらも、ルナはカイリューがいる場所に振り返る。 まだ力を貸してもらいたいと思ったのだ。 「ツバサくん、お願いが さっきまでいたはずのカイリューが忽然と姿を消していた。 まさかとは思うが、今までルナとグリーンが話しているのを、放置されたと思ってリュウの下に帰ってしまったのか。 ルナは地面に手と膝をついてショックを受けている。 そのルナの様子を見たグリーンは、全てを理解したように同情の眼差しで見ている。 「あの〜、グリーンさん」 グリーンは黙ってリザードンを出して、マントをなびかせながら飛び乗る。 「……乗れ」 目を伏せてやれやれ、という感じの顔で自分の後ろの座るスペースをぽんぽん叩いている。 それを見て、ルナの表情がパアッと明るくなった。 「ありがとうございますっ」 「ピジョットはおじいちゃんの手紙を交換するのに使うから仕方なくだ、仕方なく」 ルナはグリーンのぴったり後ろに飛び乗る。 「………近い」 「……」 「 グリーンの背中にもたれかかって寝息をたてている。 物凄いスピードだ。別によく寝る方でも無いのに。 そこまで考えてグリーンは一つの考えが浮かぶ。 「まさか本当に一週間ずっと=Aオレを探していたのか!?」 寝る間も惜しんで、ずっと真剣な顔でグリーンを探していたルナの姿を思い浮かべると、心をえぐられる。 グリーンは小さな溜め息を吐くと、自分のマントをルナに巻いてやった。 (ったく、世話の妬ける女だ……) そう思いながらも、グリーンの口は笑っていた。 頼りにしています (う〜ん……) (コイツ、わざとか!? わざと寝ながら攻撃してるだろ! 痛っ!) 20121215 ←|→ [ back ] ×
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