「ぎ…ぐぐ…く…そおっ!」
「レッド君……!」

口は動く。そう思ったレッドはフシギソウにとぎれとぎれ指示をする。

「はっ…ぱ…カッター=I」

フシギソウから葉っぱのカッターが放たれるが、女性の体をすり抜ける。

レッドとルナは驚きに目を見開く。

それに対して、とても愉快そうに笑う女性。

「フフフフ。ごきげんよう。マサラタウンのレッド。そして……神の愛娘<泣i」
「!」
「ま…まてっ!!」

身動きが取れるようになったレッドが女性へ近づいていくが、強風を起こして消え去ってしまった。

博士やルナがまとめた研究資料がバサバサと舞う。

「あ…、幻…覚…だったのか!?」
「……いえ、違うと思います」

ルナはあの女性自身が超能力者なのだと感じた。

だから睨み付けただけで、レッドを動けなくしたり、もとからいなかったかのように消え去ったのだろうと。

汗が額から顎へと滴り落ちる。

「何者だ? あいつ…。ヤマブキに来いって、どうなってんだ? しかも……」

レッドが眉間にシワを寄せて、指を口に当てながらルナを見る。

「ルナが神の愛娘≠セって?神の愛娘≠チて一体……」

その時、リザードンが二人の上空を飛ぶのが視界に入る。

そしてそのまま近くへ降り立った。

特徴的なツンツンの髪型、紫の服に黄色のペンダント。間違いない。

「もしかしたらと思ったが…、やっぱりな…」
『グリーン(さん)!』

二人は急いでグリーンのもとへと駆け出す。

「マ…マサラタウンが大変なんだ!!」
「は、博士が!」
「ああ、知っている」

そう言いながら写真のような物を出す。

「これを見ろよ」

レッドが受け取る。それをルナが覗き込みながら見る。

互いの頬が触れそうな位近いが、こんな状況だ。気付いていない。

写真にはヤマブキのビルの周辺にロケットがわらわらいた。

それを見てルナは、レッドがさっき言っていたヤマブキの話の合点がいった。

「どうして…ヤマブキにロケット団が…」
「シティ全体にバリアがはられていて、上空からの浸入も不可能。ここがやつらの本拠地ってことだ」
「じゃ…、ヤマブキへ来いってことは…」
「そのとおりだ」

三人の視線が交錯する。


「やつらとオレたちの最終戦がはじまるってことなんだよ!」


三人の間に響いた唾を飲み込む音は、レッドだったのかルナだったのか  


最終戦への合図が鳴る
(覚悟を決めなければ──!)


20121125

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