「オ…オレのバッジじゃねーか! あのヤロー!!」

しかも言葉までレッドが言ったそのまんまだった。

「ぐ…ぬ。手かげんしていればつけ上がりやがって…。だが、コイツの攻撃は特別だ!!」

そう言って、暴れ牛ポケモン  ケンタロスを繰り出した。

ケンタロスは尻尾で自らのお尻を叩いて音をたてていた。

「フフフ…、こいつはサファリゾーンのリーダーだったポケモンだ」

すると、さっきまで伸びていたカイリキーとサワムラーが起き上がる。

「しっぽの指揮で複数のポケモンをあやつれる能力を持つ、群れの長よ」

さっきから頻繁に尻尾でお尻を叩いて音をたてていたのは指揮だったらしい。

一鳴らしすると、カイリキー達が先程の倍速でカメールに向かって行った。

「!! はやい!」

カイリキーとサワムラーはカメールの口を避けて攻撃した。

するとカメールの口からはディスクがこぼれ落ちた。

「よし!」

スカーフの男はディスクをキャッチすると、ニヤリと笑う。もう手加減はしないという事か。

「ディスクさえ取り戻せれば、手かげんする必要もなかろう! 行け、ケンタロス」
「やばっ! せ、選手交替!」

本気で焦っているらしいブルーから放たれたポケモンはこの場にいる誰もが驚くポケモンだった。

一瞬ゼリーかと見紛うポケモン  メタモン。

(な…なんだ、ありゃあ)
(へんしんポケモンのメタモンですね)
(へ、へー)
(ちなみに技は一つしか使えません)
(は!?)

だが、とルナはブルーに向き直る。

盗みを働ける人間は(ずる)賢い。

ブルーが何も考えずにメタモンを出したとは考えにくかった。

「うわははは! なんだそれは! 踏みつぶしてくれるわ!!」

ケンタロスは猪突猛進にブルーに突っ込んでいく。

「大変だ!!」
「え……」

ブルーは迫るケンタロスに顔を青くしていた。

そんな時、ブルーを庇う二つの影が。

「!」

ケンタロスはメタモンと共に崖から落ちていった。

「あら! あなた達…」

ロケット団の姿をしているレッドとルナの正体に気付いたのかニコリと人当たりの良い笑顔を浮かべる。

「助けに来てくれたの? うれしいわ。それにしても貴女、男装すると可愛いわね!」
「え……」
「冗談言ってる場合かよ! おまえのポケモン、落ちちまったぞ」

レッドが指差すと、指差した方向からケンタロスが這い上がってくる。

『!』
「フ…このくらいの段差なら、ケンタロスはどうってことあるまい。おまえのチビは知らんがな」

ケンタロスは三人にジリジリと近付いて、もう後がなかった。

しかし、ブルーがルナの想像通りの少女だったなら  

「さあ、かんねんしろ!」

だがケンタロスは三人に攻撃せず、スカーフの男にお尻を向けた。

そして一鳴らし。

すると、ケンタロス率いるロケット団達のポケモンは主へと突進していく。

ルナとブルーはケロッとしているが、レッドだけが驚いていた。

「うおおっ! ぐほっ!」
「…な、なぜ我々に!?」

ロケット団がポケモン達に攻撃されている中、ブルーがレッドとルナの手を引っ張る。

「さあ、今のうちよ!」
「え?」

勿論、そんな光景はスカーフの男にとって疑問な訳で。

スカーフの男は苦しそうにしながら喋る。

「お…お、オイ! おまえ達、なにをしてる! はやくそいつを倒さんか!!」

しかし、ブルーはレッドとルナを両腕で組む。

「ブブーッ、残念でした。この人達はあたしの…、ダーリンズでーす」

そう言ってレッドとルナの黒装束を剥ぐ。

あら不思議。元の格好に戻った。

「そういうことなの、バイバーイ」
「オ、オイちょっと…」
「ダーリンズって……」

ブルーはプリンを出す。

するとプリンはフーセンの様に膨らんだ。

「さあ、飛んでプリン。あ、貴方はこの子をしっかり掴んでないと落ちるわよ」

そう言われ、レッドは反射的にルナを掴んだ、というより抱き締めた。

下を見ると、ケンタロスがロケット団を攻撃してる姿が見える。

しかしそのケンタロスはゼリーの様になる。

「あれは…!へん…しん!?」
「貴女のメタモンですよね」
「あったりー」

語尾にハートを付けて言うと、ブルーはメタモンをボールに戻した。

「あたしのメタちゃんは、変身自由自在よ!」

ルナはちゃっかりしてるなぁ、と苦笑いするしかなかった。


潜入ロケット団!
(真実がわかりました)


20121025

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