場所変わってここはタワーの外。

そこにキョウはいた。

わざわざ雨に濡れてレッド達の様子を見る事は無いと思うが。

だがキョウはわざわざ雨に濡れてレッド達の様子をゴルバットの形をしたものに映して見ていた。

そこにはリフレクター≠はったリザードが映っていた。

「防御をとったか…。だが、ようかいえき≠ヘバリアをもつきぬけるぞ!」

そう、テレビに話しかけるお父さんの如く画面に向かって話しかける。

次の瞬間、キョウが言った通り、バリアが砕け散った。

そして、リザードはアーボックの液体を  かぶった。

「ウワハハハ!」

しかし笑っているのもつかの間。

アーボックがリザードの尾によって真っ二つになってしまった。

「なにっ!?」


* * *



「とけたのはテメーの御主人が使っていたゾンビだぜ、ヘビヤロー!」

グリーンはアーボックにそう、吐き捨てた。

「トレーナーがこの場にいれば、このくらいのことすぐ見抜けただろうにな」

だから、ポケモンの死体のある2階までさそいこんだのか。と納得するレッド。

それと同時にアーボックが死んでないか心配になる。

そのレッドの手を誰かが掴んだ。

「アーボックは死んでいません」

もっとも、グリーンはポケモンを殺すなんてことはしないし、ルナがそれをさせないが。

「アーボックは再生が速いのでいつ襲いかかってくるかわかりません。早くここから出ましょう」
「お、おう。………あの、さ。ルナ」
「お見苦しい所をお見せしてすみませんでした。昔、ロケット団と色々ありまして、その……」
「いいよ、別に話さなくたって」

「え?」と不思議そうにルナが首をかしげる。

「辛い事なんだろ? 話す必要ねーよ!」

そうニカッと笑うレッド。

それを見てルナの心はふわりと温かくなる。

自分の周りには良い人ばかりだと思う。

普通、好奇心で聞きたくなる。人間とはそういうものだった。

だがグリーンもオーキド博士もリナも、誰一人聞こうとしないのだ。

「……ありがとうございます」
「ん!」

レッドもいつものルナに戻って安心したのかルナの頭を撫でる。

「置いてくぞ」
「グリーン、お前空気読めよ!」
「うるさい」
「待って下さい〜」


* * *



シオンタウンは雨が止み、そして町の中に溢れていた不穏な空気も無くなった。

ポケモンタワーに開いた穴を修復していた。

「おおお、レッドくん、ルナさん。おかげでこの町も明るくなりそうじゃ」

フジ老人が大層嬉しそうに話しかけてきた。

フジ老人を見ているとルナも嬉しくなってくる。

「これで、この子もゆっくり眠れるよ。ありがとう」

ドードーはポケモンタワーにお墓を作って安らかに眠れる様になったらしい。

「おじいさん、お礼はオレじゃなくて…、あいつに言ってやってください」

レッドが目を向けた先にはグリーンがズボンのポケットに手を入れて去って行こうとしていた。

レッドはそんなグリーンに溜め息を吐く。

「よーし、おれたちも行くか!」
「はい!」


救われた少女と町
(でも鬼の様なルナはもう見たくないな)


20121005


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