それからおずおずとピカチュウに手を差し出すルナ。

よろしく、という意味を込めて、ふわりと優しい笑みを浮かべる。

すると、ピカチュウは少し恥ずかしがりながら手をそっと出してくれた。

ピカチュウがルナになついた。

レッドは自分にはすぐにはなつかなかったのに、という思いともしかしたら自分にもなついてくれているのかもしれない、という期待に胸を弾ませてルナの様に手を差し出す。

「ほら、友情の握手だ」

ピカチュウがレッドに笑顔を見せ、その小さな手をルナからレッドの手へと差し出す。

ルナはその様子を見て胸が暖かくなる。

良かった。レッド君の思いがピカチュウに伝わったんですね。

そう、見えた  が。

が、だ。

レッドの手にピカチュウが差し出した瞬間の出来事だった。

ピカチュウがギラリとさっきの笑顔が嘘だった様に不敵な笑みを浮かべる。

『え?』

次の瞬間にはピカチュウがレッドに電撃をこれでもか、という位に浴びせる。

「こんのヤロー! ちょっとはなついたかと思えば…。クソ!!」
「あ、アハハ……」

ルナはレッドのニョロゾとフシギダネ、自分のピカチュウとロコンと共にぎこちない笑みを浮かべるしか無かった。


少年から学んだ事
(大切なのは相性じゃない)


20120906


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