ルナが反論するも、グリーンはそんな事よりもと言い、 「そこでだ。オレとおまえら…、誰が先にバッジを手に入れるか勝負しないか?」 まあ、そんな電気ねずみ1匹手なずけられないやつとは、勝負にならないかもしれないがな。 グリーンがレッドの怒りを煽る。 「よーし、うけてやらあ! 後悔すんなよ!」 「フフフ。ついでに言っといてやるか」 自分の意志は聞いてくれないのか、とルナが思っていると何か紙を出す。 「タケシは岩ポケモン使いだ。その電気ねずみ達じゃいくらきたえても役に立たないと思うぜ」 グリーンがレッドのピカチュウとルナの肩に乗っているピカチュウを交互に見ながら言うと、二匹は不服そうな顔をする。 そして「せいぜいがんばるんだな」と言って去るグリーンの後ろで、何か紙が滑り落ちてくる。 結局、ルナの意志は微塵も聞いてくれなかった。 「ちぇっ、やなやつだ」 「グリーンさんは優しい方ですよ」 「まさか!」 そう言いながら、ちらりとグリーンが落としていった紙を見る。 そこには『挑戦者歓迎! ニビシティジムリーダー・タケシが受けてたつ!!』と大きく書いてあった。 「次のジム開放日…は明日の12時か」 「結構時間がありますね」 「よーっし! 見てろよ、グリーン!!」 「頑張って下さいね!」 「いや、ルナも一緒に頑張ろうぜ……」 あ、そうですね、とルナがぽや〜と言うと他人事とは言え心配になってくるレッドだった。 「おっと、そういえば…。手持ちのポケモンは、みんなほとんどHPが尽きてたっけ」 「え、では今、ポケモンセンターに……」 「いや、明日朝一番にポケモンセンターに行って、勝負の前に弱ったモンスターの体力を完全回復させるよ」 「そうですか」。呟く様に言うルナは何でか一抹の不安を覚える。 「じゃあな、迷うなよ!」 「町の中で迷いませんよ! ……多分」 「多分かよ!!」 * * * 「では明日に向けての特訓はここまでにしましょうかっ……!」 二匹と一人は肩で息をする。 ルナはロコンとピカチュウを見ると、二匹はほとんどHPが残っていない様だった。 「明日朝一番にポケモンセンターに行って、勝負の前に弱ったモンスターの体力を完全回復させるよ」さっきのレッドの言葉が脳裏によぎる。 「明日朝一番、か……。今は『きずぐすり』で回復させて、明日の朝一番にポケモンセンターに行けば良いかな」 「ね!」と言うと二匹は笑顔で頷いてくれる。 * * * 翌日 ポケモンセンターには人が溢れかえっていた。 看板には『昨晩、当センターは何者かによって突然襲撃されました。機能が回復次第通常営業いたします。お客様には大変御迷惑を…』と謝罪の言葉がつらつらと書いてあった。 「『突然襲撃』ねぇ……」 黒髪の男が納得がいかない、という様に呟く。 「タイミング良さ過ぎるよな〜?」 口角を上げて言う男の横顔は凄く恐ろしい形相だった。 まるで何かを恨んでいるような、そんな顔だった。 そして赤い少年がこの事態を目の当たりにするのは後約二時間後── 二匹と一人の誓い (絶対強くなろうね!) 20120903 ←|→ [ back ] ×
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