「って事は、オレとグリーンで勝った方がルナと決勝か」
「あ! そやな」
「………」

レッドとマサキが話している隣で、リナは黙って口をつぐんでいると、放送が入った。

『場内のみなさま…!! ただ今の試合の勝者、ルナ選手の決勝戦棄権が決定しました!! 敗者、ブルー選手には決勝出場権がないため、大会規定により第2試合を、事実上の決勝とします!!』

この放送に、観客はどうしたんだとざわめき始める。

レッドとマサキも呆気に取られた。

「なっ、棄権ってどういう事だよ!!」
「レ、レッド!」

ルナのもとに行こうとしたのか、レッドは駆け出そうとした。

しかし、リナがそれを止めた。

「退いてくれ!」
「貴方はこれから好敵手との決勝戦があるでしょう?」
「そ、そやでレッド! 行かへんと、試合放棄になるで!?」
「ここは私に任せなさい?」

悔しそうに顔を歪めるレッドに、小さな胸をドンと叩いてみせるリナ。

真っ直ぐな目でレッドを見据える。

レッドは妹であるリナの方が適役だという事がわかっているため、「わかった……」と絞り出すように言った。

「言っとくけど、全力で戦ってこないと許さないわよ。ついでに優勝をかっ拐って来なさいよ」
「!」
「あんたが楽しそうにバトルしてたり、優勝したりすると、お姉ちゃんは笑うから」

ちょっと不服そうにそう言った。

しばらく口を開けていたが、キリッとした顔付きになると力強く頷いた。

「わかった。……ルナをよろしくな」
「言われなくとも」

軽く手を振って駆け出した。

本選会場を飛び出すと、途端にリナは立ち止まった。

(……って、探せっこ無いじゃない!)

ルナが迷子になっていたら尚の事だ。

軽く舌打ちすると、とりあえずいくつかの心当たりを適当に当たろうと、本選会場の中に戻った。

そして、つい心の中で叫ぶ。

(お姉ちゃんが迷子にならない可能性の方が低いわっ!!)


雨の中に咲いた向日葵
(その向日葵は)
(とても綺麗でした)


20121211


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