シルフカンパニーはすっかり騒がしくなっていた。

まぁ、大半が捕まったロケット団と、タマムシの精鋭だが。

オーキド博士をグリーンとルナとで支えながら、正義のジムリーダーのもとへ行く。

もちろん、レッドも一緒だ。

「みんな、無事でなによりじゃ」
「包囲網から抜けた者はいませんわ。三幹部も、首領もみんな倒れたビルの下になりました」

三幹部の補佐は……と思ったが、きっとパーカーだけが見つかった時にはもう抜け出した気がしたので聞かなかった。

「やつらが使っていたポケモンはすべて回収したぞ」
「正しい親が育て直せばきっと素直なポケモンに戻るはずよ」

「カスミー、エリカー!」とルナがカスミとエリカに抱きつく。

カスミもエリカもルナの頭を撫でる。

それを見てレッドが少し不思議そうにする。

カスミと知り合いなのは知っていたが、エリカとも知り合いだなんて。

レッドはじっくり三人組を見る。

なんだかこの三人組に何か共通点を感じるような。

「あれ!? …ブルー…は!?」

女三人組を見て思い出したが、ブルーがいない事に気が付く。

「本当だ……、ブルー?」

見渡すがどこにもいない。

まさか木の影に隠れているなんて気付きもしなかった。

「…レッド。セキエイ高原で戦う日を…楽しみにしている」
「! グリーン…」

グリーンがぶっきらぼうに背中を向けて、ボールを握り締める。

レッドもそれに応えてボールを握り締める。

あぁ、なんだか青春だな若いって良いな、なんて思っていたらルナにもグリーンからボールを握り締めて合図を送られる。

「……ルナも、な」
「はいっ。セキエイで……また!」

ボールを前に突き出した手で握り締める。

「オレも!」
「あ、は、はいっ。セキエイ、で!」

レッドにも合図を送られて少し慌てるが、またボールを握り締めて見せる。

そして、向日葵のような笑顔を浮かべる。

この戦いで、自分は一人じゃないって事がわかったから  


優しい、声がした
(マサラを守ったよ、パパっ)


20121206

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