「amazing! キャタピーかビードルのホウエンversionか!」

因みに、ジョウト地方に出てくるポケモンならそれなりに知っている。

虫も別に嫌いでは無い。

寧ろ、どんな見た目のポケモンも、愛せる。

バトルもコンテストも、大がつく位に嫌いだが愛でる事に懸けては自信がある。

ところで、なんで赤い虫はこんな所にいるのかと思っていると、ポチエナに似たポケモンが追っかけてきた。

ははぁ、要するに遊ばれているのか、と理解すると、ユキはポチエナに似たポケモンに立ちはだかった。

「stop! 虫を虐めちゃ駄目じゃないか!」

そう言うと、ポチエナに似たポケモンは威嚇≠してきた。

「……。なるほど、このポチエナに似たポケモンは、わんぱく≠ナ喧嘩をするのが好き≠ネんだなァ?」

ポケモンに似たポケモン  グラエナをその目でミ≠ト分かった事に、頷く。

「bud! これじゃァ、弱い者虐めだ。なんとか止めさせなきゃ  フラッフィ!」

ボールから出てきたるは首回りがモフモフとしていて愛らしいポケモンのイーブイ。

バトルは嫌だが……虫ポケモンを助ける為には致し方無い。

「フラッフィ、砂かけ=I」

イーブイが地面をゲシゲシと蹴って、グラエナに砂をかけた。

だが、グラエナはより一層怒っただけで、何の効果も無かった。

「trouble(トラブル)……困ったなァ……」

そう呟きながら、虫ポケモンをちらりと見る。

「キミ! ちょっと手を貸してよ!」

すると虫ポケモンは、自分が被害者の癖にポケーとしている。

若干ペースが崩れるが、「頼むよ〜」と言うと了承してくれた。

「私が良い、と言うまで動かないでよ?」

虫ポケモンがのんびりコクンと頷く。

逆に性格が呑気≠ナ良かったと思う。

でなければ  この作戦は出来ない。

グラエナはこちらに向かって凄い形相でやってくる。

だが、まだ、動きはしない。

本当に近くて、息がかかるという時に  

「糸を吐く!!」

  糸で拘束する!

グラエナは、糸がなかなか取れないようで、ジタバタともがく。

もがけばもがく程に、絡まっていく。

「さァ、もう虫を虐め無いかい? 虐めないなら、糸を切るけど」

これは誘導尋問では無いのか、とかポケモンであるグラエナは分からない。

だが、糸が絡まった状態では充分に遊ぶ事すら出来ない。

グラエナは、頷いた。

「OK!」

ユキは懐から出したハサミをクルクルと回すと、目にも止まらぬ早さでグラエナの糸のみを切っていく。

やがてバラバラになると、グラエナは踵を返して去っていった。

「キミを虐める奴はいなくなったよ」

そう、虫ポケモンに言うと、嬉しそうにニッコリ笑ってくる。

ああ、可愛い。ルビーに言ったらきっと美しく無いだなんて言うのだろうが  と考えて思い出す。

ルビーを追っかけていたんだった、と。

ユキは虫に「それじゃあね」と言うと、踵を返した。

だが、

「わぁっ!!」

右足に糸を巻き付けられたせいで、頭から転んでしまう。

しかもそのせいで服が汚れた上に、顔面衝突してしまった。

「なにするんだ!」

くるり、と虫の方を向くと、虫はまるでなついたように、自分をスリスリしてくる。

(very pretty〜)

ユキはすっかり顔を緩め、虫を抱き抱える。

「よーし、私と行くかい?」

尋ねれば、ニッコリと笑ってくれる。

誰が見たって了承の印だ。

「さぁ、Let's go! フラッフィ、リージュ!」

虫は、きょとん、としている。呑気屋らしい反応だ。

「キミの名前だよ。呑気な性格のキミだからね。ゆうゆうとした、って言う言葉を英語にするとleisurely(リージュアリー)って言うんだ。だから、そこから取ってリージュ!」

「よろしく、リージュ!」と言って駆け出すと、のんびりと駆け出した。

あーあ、これは簡単に追い付けそうにないなぁ、と思いながら新たなポケモンである虫  ケムッソを微笑ましく見詰めた。


人生の分かれ道
(手紙に書かれた事が)
(なんなのか知らずに)


20140202



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