04
ブルーの言う通り、オレは出会った時からココロの事が好きになっていたのかもしれない。

あの小さな花が咲いたような笑顔が見たくて、

いつも心のどこかで彼女の事を考えていたのだ──

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「……泣き止んだか?」

すっと、抱き締めていた腕を解放し、ココロの顔を窺う。

するとココロは涙を拭い、コクコクと思い切り頷いた。

それでも尚残る涙の跡と、兎のように真っ赤に腫れた目に、オレは胸が痛く締め付けられた。

「……ココロ……」
「──っ!」

優しく頬に触れれば、ココロは驚いたように目を見開いた。

かと思えばガサゴソとメモ帳を取り出し、何かを綴る。

『グリーンさんから、初めて名前を読んでもらいました』

すごく嬉しそうに顔を赤らめてメモ帳を見せてくるものだから、オレは思わず気恥ずかしくなり、彼女から手を離して押し黙った。

「?」

それがとても不思議なのか、ココロはコテンと首を傾げながらオレの顔を覗き込んでくる。

その瞬間にカッと顔が熱くなるのを感じた。なんだ、これは。

すぐさまココロから顔を背ける、けれど、うるさい位に鳴る心臓の音は止まなかった。

(……チッ、意味が分からない)

昔からの癖である舌打ちを心の中で思う存分鳴らし、もやもやとした心に悪態を吐いた。

──グリーン、恋したのね!!

ブルーの声が頭の中で何度も聞こえる。だから、違うって言ってるじゃないか。本当に、うるさい女だ。

「──?」

くんっ。

控えめに引っ張られる服の裾。

すぐに振り返れば、当然ながらココロの姿なのだが、目に付いたのは差し出されたメモ帳の方であった。

そこには相変わらずの綺麗な文字が。



『ありがとうございました』



それを手にしてるココロの顔は──

小さな花が咲いたような笑顔だった。

控えめで小さいけれど、それでも綺麗に咲いた健気な花のようだった。

(……ああ、駄目だった)

ガックリと肩を落とす。それと同時に、スッキリしたような気持ちになり、口元に笑みを浮かべた。

(認めないつもりだった。でも、駄目だった)

──オレは、完全にココロの事を……

『グリーンさん?』

筆談で呼び掛けてくるココロの顔はやっぱり赤くて、そんな所も可愛らしいと思ってしまった。ああ、オレらしくもない。

……けれど、今から言うことの方がオレらしく無いのかもしれないな。

「……ココロ」

改まって名前を呼べば、ぴくりとココロの小さな肩が揺れ動き、真っ直ぐこちらを見据えた。

透き通るような空色の瞳を、オレは真っ直ぐ見据え返す。

もう辺りは日が暮れていて、子供の姿はおろか人の姿さえ認識出来ない位の時間になっていた。

ただ遠くで、ヤミカラスの鳴き声が聞こえるのみだった。

そんな中、オレは口を開く。




「オレは、お前を守りたい」




こんな想いは初めてで


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