02
あの時のオレは、あいつの事なんてなんとも思っていなくて。
それでもほんの少し気になるような、そんな気持ちがあった。
きっと、あいつの事を知らなさすぎたんだ。
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「グリーン、恋したのね!!」
アホか、この女は。
だから女は苦手だ。ただデパートに行く途中でココロという少女に会って、一緒にデパートを回ったと言っただけなのにコレだ。
全く、やってられない。
オレは深い溜め息を吐いた。
「なによ、その溜め息は」
「……別に」
「で、そのココロちゃん……だったか? どんな子なんだ?」
ブルーがオレをジトリと睨む中、レッドが興味津々に聞いてきた。
……どんな子、と言われてもな。
「声が出ないようなやつで、会話は筆記だった事位しか……」
「声が出ない?」
「どういう事よ、それ」
「知るか。会話なんて数える位しかしてないのに知るわけ無いだろ」
『え〜!? そうなの(か)〜!?』
なぜか残念そうに二人が口を揃えて言う。
お前達は一体何を期待してたんだ、全く。
「でも珍しいな。グリーンがその子の買い物を手伝うなんて」
「……」
「確かにそうよね! やっぱり恋して
」
「だから違うと言ってるだろ!」
オレはやけにイラついて、早足で扉に向かうと乱暴に音を鳴らして出ていった。
「なによう、あんなにムキになる事無いじゃない。……やっぱり惚れてんじゃないかしら」
「ブルー……」
「言い忘れたが、とっとと出ていけよ。ココはオレのジムなんだからな」
「うわっ、ビックリした〜!」
「あんたもいちいち細かいわね……」
確かに会いたいかと言われれば、会いたい気もする。
しかし、わざわざ会ってする話があるわけじゃない。
もしかしたらあいつにしたら、オレは目付きが悪くて恐いやつで、もう会いたくないと思っているかもしれない。
だったら会う意味なんて無いじゃないか。
それでも、あの噴水の所に座っていた時の、あいつの悲しげな顔が焼き付いて離れなかった。
『また、会いましょう』
少し控え目に書かれた、オレが買ってやった新品のメモ帳の文字を、小さな花が咲いたような笑顔で見せるココロの姿が脳裏によぎる。
「『また、会いましょう』か……いいかもしれないな。また会うのも」
少なくとも、少女にとって迷惑になる事は無さそうだと感じた。
再び巡り合うと信じて
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