「うーん、これも良いけどこれも良いですね、ランクルス」

なまえは、今日、クリスマスにイッシュ地方に里帰りしていた。
イッシュ地方育ちだが、カントーのかの有名なオーキド博士の助手を勤める為にマサラタウンに行っていた。
最初にマサラタウンに行った時は、あまりの田舎さに驚きを隠せなかったなまえだが、マサラの生活に慣れ親しんでしまった今は逆にヒウンの都会さが、なぜそんなに皆急いでいるんだと不思議に思うくらいだ。
そんな事はさて置き、今なまえはプレゼント選びをランクルスと共にしていた。
まぁ、共にと言ってもランクルスはプニプニとした身体をふわふわ浮かせてニコニコ見ているだけなのだが。
それでもかすかな表情の変化で、返事をしようとしてくれているのはわかった。

「よし、じゃあこれにしましょう」

ニッコリ笑って見せると、ランクルスもより一層笑った気がした。
店から出ると、マサラタウンのような自然の匂いでは無く、都会の人工的な匂いが鼻についた。
そういう意味ではやはりマサラタウンのほうが二枚も三枚も上のような気がした。
ヒウンアイスでも食べようかと思った時、見知った後ろ姿が見えた。
あのツンツンな髪。そしていつもポケットに入っている手。鋭い緑の瞳。
間違い無かった。
すぐさまなまえは彼に近付いた。

「グリーンせんぱーい!」

ちょこんと隣からひょっこり顔を出すと、グリーンは驚いたようにのけぞった。
そんな事ちっとも気にせずに、にぱっと笑ってグリーンに詰め寄る。

「凄く珍しいですねー。グリーン先輩がイッシュに来るなんてー」
「……たまたま、おじいちゃんからイッシュでの用事を頼まれたんだ」
「えー、それなら私に言ってくれたらよろしかったのに」
「おじいちゃんは遠慮したんだろ。お前の里帰りに用事を頼む事を」

なるほどー、と幾度かうなずくとなまえはグリーンの腕にしがみついた。
いきなりの事に、流石のグリーンもポーカーフェイスを崩した。

「おまっ……、いきなり何を!」
「それなら一緒に買い物出来ますねー」

さも嬉しそうに満面の笑みで言うなまえに、たじろぐと同時に溜め息を吐いた。

「だから用事を頼まれてここにいると言っただろう……」
「その用事をパパッと終わせば問題ナッシングです!! この地方に詳しい私と一緒なら、すぐに終わっちゃいますよ!」
「……」

それは決して否定出来るものでは無かった。
実際、現在形で少々困っていた。
さぁ私に用事を話したまえ、という風に期待の眼差しでグリーンを見ている。
その純粋無垢な瞳に負けたのか、グリーンは深い溜め息を吐いて、

「マコモという研究員に用があったんだ」
「マコモ姉? マコモ姉ならしばらく手を離せない状態なので会えませんよ?」

その言葉に、目を見開かせて「は?」と信じられないという顔をしている。

「たまーに、研究に熱心になりすぎて手が離せない時があるんですよ」
「……そうか」
「──と、いう事で!」

しょうがないというように溜め息を吐いた時、なまえがしがみついた手を引っ張った。
そして子供のような無邪気な顔をした。

「私とデート、ですね!」
「は、なせ!」
「離しても良いですけど、隣は譲れません!」
「……?」

不思議そうに眉を寄せてグリーンはなまえを見た。
なまえはまだ手を離さずに、猫口を横に広げた。

「だって、恋人みたいじゃないですか!」


並んで歩けば恋人気分
(お前は恥ずかしげも無く……)
(エヘヘー)

title by Fortune Fate

甘甘を目指しましたグリーン夢。
あ、甘……!?甘なんか書けませんよ!
というかなんでイッシュなんでしょう。いや、答えは明確。ランクルスの愛らしさとプニプニとした身体をアピールしたかったから(`・ω・´)キリッ
本当はデートするところを書くつもりだったんですけどね、どうしてこーなった。
それにしても夢主のキャラが……!
なんか、グリーン夢を書こうとすると、いっつもブルー姉さんのようなキャラになってしまうのです。なので、一風変わった夢主にしたかったんですが、見事に沈没!
とにかくメリークリスマス!


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