※学パロ(ポケモンはいる)
その人は、私の幼馴染みだった。
その人は、私の尊敬する人だった。
その人は、私の良き理解者だった。
その人は、私の王子様だった。
その人は、私の──
◎ ◎ ◎
「レッドー、早く行かないと遅刻するよ?」
私は「友達」であるイーブイと一緒に、レッドの家の前に仁王立ちで立っていた。
中からドタバタという忙しない音が聞こえてくる辺り、ただの寝坊みたいだ。
やれやれ、何度目だよこれで。
待っている間、暇な私はイーブイを抱っこして、そのモフモフな毛に顔を擦り付けた。
はぁ〜、あったかい、柔らかい、気持ち良い〜。
この上無く至福な顔をする私は、きっとだらしなく顔を緩めているだろう。
しかしこの習慣は止められない。
肌寒い風が頬を刺すこの冬に、これはもう天国に行ったような気分が味わえる。
レッドはイーブイが可哀想だと言うけれど、それなら一回やってみろと言いたい。
絶対ハマるよ〜。
そう思った時、バタンと凄い音をたててレッドの家の扉が開いた。
息急ききって、顔を歪ませていたレッドだが、こちらを見た途端に爽やかな笑顔になった。
「おはよ、なまえ!」
「お、おはよ……」
思わずときめいてしまった。
私はイーブイを地面(今年はまだ雪は積もっていない)に置いて、マフラーを口まで引っ張りぶっきらぼうに言った。
「今朝は寒いなー」
「そうだね」
「雪降ると思うか?」
「んー、どうだろ」
そんな話をしながら私はウインディを出した。
私達はあたりまえに、ウインディの上に飛び乗った。
時刻は本気でヤバい時間を差している。
ウインディを使ってでもなければ着くはずが無い。
場所は決まっていて、私がウインディの親なのにレッドの後ろだ。
まぁ、もう慣れすぎてて逆に私が前に座ったら、違和感があるからいいのだけど。
最近なぜレッドが前なのか理由がわかった。
特に今みたいな寒い時期は、ウインディの背中が温かろうが、横から吹いてくる風は防ぎようが無い。
だからレッドが盾になる形になってるんだ、多分……。
実際、それほど強い風にはあたったことが無い。
こういう何気ない気づかいが、なんていうか憎い……。
その時、手に持っていたカバンが手からすり抜ける。
それを慌てて取ろうと手を伸ばすが、届かない。
届かないどころか、バランスが崩れ、ウインディから落ちそうになる。咄嗟に目をつむる。
──や、ば!
しかし、地面に落下する様子は一向に無い。
つむっていた目を開けると、レッドが支えていた。
「よっ、と。大丈夫か?」
「っ!」
顔が熱くなって、鼓動が耳に響いて、息が苦しい。
つい目を逸らしてうつむいてしまう。
「こうすれば落ちないだろ?」
そう笑って私をレッドの腕の中にいた。
──って、
「ち、ちょっと、何を!」
「へへ。いいじゃん、あったかいし」
「ででででも……!!」
「離せって言っても絶対離さないから」
「!」
な、なんか笑顔が恐ろしいですレッドさん……。
「学校着いたら離してね……」
「えー、どうしよっかなー?」
「は!?」
その人は、私の幼馴染みだった。
その人は、私の尊敬する人だった。
その人は、私の良き理解者だった。
その人は、私の王子様だった。
その人は、私の──初恋の人だった。
世界で一番近くにいた人(はーなーしーてー)
(ぎゅー)
20121224
title by
カカリア『ベネディクト』の亜鉛さんへ!
こんなのが相互記念です。設定が無茶苦茶ですみません。
学パロにしようと思ったんですが、亜鉛さんの好きなイーブイも出したいと思って、ポケモンがいる学パロになりました(笑)
亜鉛さんのみお持ち帰り下さい!
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