ふわふわと揺れる少女の飴色の髪の毛は、何だかあまいにおいがした。





ブルーリボンを君に捧ぐ





「なぁ、ステラちゃん」

「ん? なぁに、ゼロスくん」


 ソファに座って頬杖をついて話しかけるゼロスに、ステラはくるりと振り向いてへらりと微笑んだ。


「ステラちゃんって、戦闘のとき、髪の毛が邪魔だって思わねーの?」


 ゼロスは少女に以前から気になっていた疑問を投げかけてみる。
 思い返せばこの少女、前衛で闘う際はいつも飴色の髪を振り乱していた気がする。癖っ毛なのも相成って戦闘後は髪型がひどく気になるかのような素振りも見せていた。


「えっ…邪魔じゃないよ?」

「ほんとにー?」

「ほ、ほんとだよ」

「ほんとのほんとに?」

「本当、だよ」

「ほんとのほんとに本当?」

「……」


 疑念を持ったゼロスはじりじりとステラに詰め寄る。少女の返事は徐々に弱気なものになっていった。
 最後にもう一度、ゼロスが本当かと尋ねると、ステラは負けましたとでも言いたげな瞳を彼に向けて一言、邪魔です、とだけ吐いた。
 その答えを聞いて満足したのか、ゼロスはニヤリとした笑みを浮かべた。


「そっかー! じゃあそんなステラちゃんに俺さまからのプレゼント」


 そう言ってゼロスはひとつの小包をステラに手渡した。それを受け取った少女は、話が見えないといった表情で首を傾げた。


「……なに、これ?」

「まー開けてみなって」


 その言葉の通りにステラががさがさと包みを開く。


「これって……!」

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