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 粉雪を見つめる彼が、少し悲しい顔をしていた気がするのは、一体なぜなのだろう?
 声をかけることもできずに、少女は彼を見つめていた。





04.セカンドエンカウンタ





 雪の積もるフィヨルドに、レネゲードのベースはあった。
 外装は風景と同化した岩石で覆われているが、内装は打って変わってかなり未来的な造りになっている。


「ここがレネゲードの本部か……」


 思わず感嘆の声を漏らすロイド。隣ではリフィルが、どんな造りなのだろう、と目を輝かせて機械を見つめていた。
 ベースの一室を占拠した後、ロイドたちはおろちに建物の構造や目的についてを一通り説明してもらう。


「では、健闘を祈っている」


 ロイドたちは、そう送り出すおろちを後にして奥へと進むことにした。


「あれ? ゼロスくんは?」


 きょろきょろと首を振ってステラが辺りを見渡したが、その人は見つからない。
 ほんとだ、と呟いてロイドも辺りを見たがやはりいない。どうなっているのかと首を傾げていると背後から声がする。


「あー悪い悪い。……待たせたな」

「どこ行ってたんだよ?」

「ちょっと、な。罠だとマズいっしょ?」


 だから辺りを探索してきたのだとゼロスがでひゃひゃと笑った。その笑いにステラは何とも言えない不安を感じたが、みんながさして疑念を抱いていないようだったので、そのことについて口にするのは止めた。
 皆が心配する、とリーガルが注意するとゼロスはへいへい、と返事をし、頭の後ろで手を組んで歩き出す。


「やっぱり警備は厳重だな」


 ロイドの言葉に、みんなは頷く。
 通路の要所要所に見張りや巡回のレネゲードがいて、その度にロイドたちは彼らを昏倒させる羽目になった。
 さらに、おろちの説明によると、三つのパスコードを手に入れないと深部まで辿り着けないというのだから厄介である。
 ベースの構造も複雑で、同じように所を何度も歩いているような錯覚さえもする。


「あー…俺さま疲れたぁ〜」

「わ…! な、なに…?」


 声とともに後ろからがばりと重心がかかり、驚いたステラが思わず声をあげる。
 振り返ると赤い髪をさらりと揺らしたゼロス。敵ではなかったとステラはほっと安堵の息を吐いた。


「こらアホ神子、ステラが驚いてるじゃないか」


 驚いた様子のステラを見かねてしいなが声をかけると、抱きついた当の本人はニヤリと笑みを浮かべた。


「なーに、しいな。お前も俺さまに抱きついてほしかったりするの?」

「んなわけあるかい!」

「なんだ、つまんねーの」


 茶化すゼロスにしいなが否定の言葉を返すと、ちぇー、と言いながらゼロスは頭を掻いた。
 ステラも油断するんじゃないよ、としいなが溜め息をつきながら忠告をするが、当人はまるで自覚がないようで、はぁい、と手を挙げて間の抜けた返事が返ってくる。
 それに尚更深い溜め息を吐くしいなであった。


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