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わぁ、と喜んだのはプラチナブロンドの少女。わたしはコレットだよ〜、よろしくね、とにこにこ笑いながら少女の手を握る。
「まだ決まったわけではなくてよ。この子が戦力となりうるか、戦ってもらいましょう」
「……分かり、ました」
長銃をぐ、と握りしめて少女は言った。
* * *
場所は移って街の外の平原。
そうね、じゃああのモンスターと戦ってもらいましょう、とリフィルが草原の向こうに見えるモンスターを指差す。
「大丈夫だよ、頑張ってね」
「……ありがとう」
コレットが不安そうに長銃を握る少女の肩をぽん、と叩いて励ます。それを合図代わりに、少女はモンスターのもとへと駈けだした。
「……お手並み拝見、ってとこだな」
ゼロスは、少女がモンスターと対峙するのを見つめながら頭の後ろで手を組み呟く。
戦いに挑んだ少女の姿に、一同は唖然とした。というのも、撃つのかと思った長銃で敵を凪ぐ。その予想もしない武器の使い方に驚いたのだった。
ある程度モンスターに傷を負わせると、少女はバックステップで敵と大きく距離をとる。
「アクアバレット!」
装填された弾丸がモンスターを貫き、きりきりと空を舞って落ちていった。
少女はふぅ、と息を吐いた。内心、今の戦いで大丈夫だったのかと不安に思っていた。
何も思い出せないなか、唯一残っていた、戦うための記憶。思い返せば、なぜこれだけ覚えていたのだろう。
そこまで考えたところでみんなが駆け寄ってくる。
不安そうにリフィルを見つめる少女に向かって、合格よ、と短く彼女は答えた。
「これからは一緒なんだね! ボクはジーニアス、このひとの弟なんだ」
リフィルを指しながら、ジーニアスはまだあどけなさを残した笑みを浮かべる。
それからこの可愛い子がプレセア、変わった服を着てるのがしいな、ちなみにこの赤い服のはロイドだよ、と続けた。
ついでみたいに言うなっ、と冗談混じりにロイドは怒ってみせた。それから少女に向かって手を差し出す。
「俺はロイドってんだ。改めてよろしくな、えーと…」
ロイドが言葉を詰まらせる。それから少し照れたように「名前なんていったっけ?」と言うのだった。