4-3
ユアンとボータがロイドたちを挟むようにして立っていたため、後衛であるリフィルとジーニアスを中心にして陣を組む。
リーガルとロイドとしいなはボータ、プレセアとゼロスとステラでユアンを抑えにかかった。
「なぁ、あんたさー、ステラちゃんのこと知ってるみたいだったけど」
どうなのよ、とゼロスがユアンからの一撃を受け止めながら言う。ステラ、という名前を聞いて、ユアンはぴくりと眉を吊り上げた。
「あの少女のことなど、私は知らん…!」
ぎちぎちと大剣がゼロスを潰しにかかる。その重さにゼロスの顔が僅かに歪んだ。
「ゼロスくん、下がって! 見切れないよっ、クロスミラージュ!」
不規則な弾丸が十字架を描くようにユアン目掛けて飛んでいく。了解、と短くゼロスが応えると瞬発的に剣を跳ね返し、バックステップでユアンから距離をとる。
「ぐっ…!」
防ぎ損ねた弾丸がユアンに直撃する。がくりと跪いたので、倒れたと思いきや、詠唱をしていたらしく、彼の周りにマナが集まりきらきらと輝いた。
「インディグネイション!」
発動した魔術の大きな光の影がプレセアとステラを覆う。
「危ないわ! すぐ退きなさい!」
その魔術が何であるかを知っていたリフィルが叫ぶ。しかしそれは少し遅くて、瞬間、きゃあぁぁという絶叫とともにふたりが倒れ込んだ。
ユアンを抑えるべき前衛がひとりになってしまったために、陣が崩れる。
ゼロスが慌てて抑えにかかるが、ユアンはすり抜けて回復役であるリフィルを狙いにかかった。
「……ちっ」
舌打ちをすると、ゼロスが急いで追いかける。
「させないんだから! …潰れちゃえ、ロックブレイク!」
間に合わない、とゼロスが少し諦めかけていたとき、詠唱を終えたジーニアスがユアンに魔術を叩きつける。間一髪のところでリフィルが襲われるのが回避された。
「よくやったがきんちょ!」
そう言ってゼロスはユアンと対峙する。じりじりと間合いをつめながら睨み合っていた。
その隙をついてリフィルが倒れたふたりに駆け寄って、蘇生術の詠唱に入る。
「……レイズデッド」
杖を翳して唱えると、気絶していたふたりがむくりと起き上がる。
「う、ん…?」
「大丈夫かしら? 今手当てを、」
頭を抱えて起き上がろうとするふたりに、リフィルがそう告げたところで部屋ががたがたと揺れだした。どうやらかなり大きな地震のようだ。
「な、なんだ…?」
「ロイド、今が神の好機だ」
「…あ、ああ」
リーガルが冷静に告げると、ロイドはこくりと頷いてレアバードへと走り出す。
「みんな、急げ!」
その声に促されて、各々はレアバードに跨った。
行くよ、というしいなの声とともにレアバードは空へと飛び立っていく。