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 ユアンとボータがロイドたちを挟むようにして立っていたため、後衛であるリフィルとジーニアスを中心にして陣を組む。
 リーガルとロイドとしいなはボータ、プレセアとゼロスとステラでユアンを抑えにかかった。


「なぁ、あんたさー、ステラちゃんのこと知ってるみたいだったけど」


 どうなのよ、とゼロスがユアンからの一撃を受け止めながら言う。ステラ、という名前を聞いて、ユアンはぴくりと眉を吊り上げた。


「あの少女のことなど、私は知らん…!」


 ぎちぎちと大剣がゼロスを潰しにかかる。その重さにゼロスの顔が僅かに歪んだ。


「ゼロスくん、下がって! 見切れないよっ、クロスミラージュ!」


 不規則な弾丸が十字架を描くようにユアン目掛けて飛んでいく。了解、と短くゼロスが応えると瞬発的に剣を跳ね返し、バックステップでユアンから距離をとる。


「ぐっ…!」


 防ぎ損ねた弾丸がユアンに直撃する。がくりと跪いたので、倒れたと思いきや、詠唱をしていたらしく、彼の周りにマナが集まりきらきらと輝いた。


「インディグネイション!」


 発動した魔術の大きな光の影がプレセアとステラを覆う。


「危ないわ! すぐ退きなさい!」


 その魔術が何であるかを知っていたリフィルが叫ぶ。しかしそれは少し遅くて、瞬間、きゃあぁぁという絶叫とともにふたりが倒れ込んだ。
 ユアンを抑えるべき前衛がひとりになってしまったために、陣が崩れる。
 ゼロスが慌てて抑えにかかるが、ユアンはすり抜けて回復役であるリフィルを狙いにかかった。


「……ちっ」


 舌打ちをすると、ゼロスが急いで追いかける。


「させないんだから! …潰れちゃえ、ロックブレイク!」


 間に合わない、とゼロスが少し諦めかけていたとき、詠唱を終えたジーニアスがユアンに魔術を叩きつける。間一髪のところでリフィルが襲われるのが回避された。


「よくやったがきんちょ!」


 そう言ってゼロスはユアンと対峙する。じりじりと間合いをつめながら睨み合っていた。
 その隙をついてリフィルが倒れたふたりに駆け寄って、蘇生術の詠唱に入る。


「……レイズデッド」


 杖を翳して唱えると、気絶していたふたりがむくりと起き上がる。


「う、ん…?」

「大丈夫かしら? 今手当てを、」


 頭を抱えて起き上がろうとするふたりに、リフィルがそう告げたところで部屋ががたがたと揺れだした。どうやらかなり大きな地震のようだ。


「な、なんだ…?」

「ロイド、今が神の好機だ」

「…あ、ああ」


 リーガルが冷静に告げると、ロイドはこくりと頷いてレアバードへと走り出す。


「みんな、急げ!」


 その声に促されて、各々はレアバードに跨った。
 行くよ、というしいなの声とともにレアバードは空へと飛び立っていく。


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