4-2
ロイドたちは幾度か戦闘を繰り返した後、ようやく三つのパスコードを手にすることができた。
「うーん…結構かかっちまったな」
「そうだね、できるだけ急ごう」
「……早く、コレットさんを助けてあげたい…です」
そう言って俯くプレセア。そんな彼女を励まそうと、何かと声をかけるジーニアスではあったが、なかなか上手くいかないようだった。
そんなふたりをさておいて、ロイドが目の前の機械を指差した。
「じゃあ、パスコードを入力するぞ」
ロイドがそう告げると、みんなはごくり、と生唾をのんで頷いた。
ピピピと入力する音が沈黙したベースに響いた。次にパスコードが認証されピコーンという音が鳴ると、目前の扉が開く。
中へ入ってみると、やはりそこはレアバードが格納されている倉庫のような場所だった。
「よし、あった! これに乗って、」
「飛んで火にいる夏の虫とはまさに貴様のことだな、ロイド・アーヴィング」
ロイドの声を遮って、もうひとつの声が部屋に響いた。
驚いて振り返るとそこには男のひとがふたり。ひとりは浅縹色の長い髪を後ろで束ねてマントを羽織っており、もうひとりは黒い髪をした、渋いという表現が似合う男だった。
見知らぬふたりにステラが首を傾げている一方で、ロイドは呆れた表情で彼らに振り返った。
「……相変わらず当たり前のことしか言えないのな」
「確かに今時その台詞はどうなのよ?」
同じように呆れ顔のゼロスが続けて言う。
「余計なお世話だ!」
そう怒鳴ると浅縹色の男が武器を構えてロイドたちを睨む。それから何かを視界に入れると驚いたような素振りを見せた。
「な…なぜお前がここに…」
髪と同色の双眸を見開いて見つめているのは、ひとりの少女だった。
「え、わ…私?」
「ユアン、お前、ステラのことを知っているのか?」
予想外の事態にステラは狼狽えた。アクアマリンの瞳がユアンと呼ばれた見知らぬ男を見つめる。
「ユアン様…彼女は……」
もうひとりの男がユアンに尋ねる。彼にもやはり動揺した様子が見て取れた。
「見られてしまったものは仕方あるまい。それよりボータ、行くぞ」
ユアンがかけ声とともに武器をとる。彼の武器はどうやら見た目の華奢な体格に似合わずダブルセイバーのようだ。片手で軽々と持ち上げながらこちらへと駆けてくる。
「みんな…気をつけろ!」
ロイドの言葉を聞くや否やみんなは戦闘体勢に入った。