ヒサギを同居させることにした日のこと。追いかけられて走り回ったせいで、ユーリもヒサギも汗や泥で汚れてしまったため、とりあえずお風呂に入ることにしたのだった。
ユーリは、先に入るなんて悪いから、と遠慮するヒサギを無理矢理風呂場に追いやって、先に入浴させることにする。我が身ひとつでこの世界に降り立った少女には当然ながら、予備の服がない。それも見越した上で、ヒサギは入浴を拒んでいたのかも、とユーリは思う。
あり合わせではあるが、とりあえずシャツやズボンを用意して脱衣所に放る。ヒサギが出てきたのは、それから暫く経った後のこと。
「ユーリの服……大きいね」
「……」
案の定というか、何というか。多少サイズが合わないことは分かってはいたが、少しばかり大きすぎたようで。元々来ていたワンピースも胸元が開いているが、それと同じくらいのはず――だが、妙にそちらが気になってしまう。
「服、借りてくるわ」
「……え?」
気まずさに耐えかねたユーリは、きょとんと目を円くするヒサギをおいて、家を飛び出した。あの格好で一晩を過ごさせることに抵抗を感じるなんて、自分もまだまだ健全な若い男だということか、なんて頭の隅でユーリは考える。
「悪いが……これに着替えてくれ」
「? ……分かった、着替えてくる」
ヒサギは首を傾げたまま、差し出された服を受け取る。それはちゃんとした女性用の寝間着だった。しかもなかなか値が張りそうな綺麗なもの。新品ではなさそうだが、これを一体どこで手に入れてきたのか。ヒサギは疑問に思って首をひねる。
「……お友達の?」
「ああ、ちょっとな」
そう言ってユーリは、がしがしと黒髪を掻いて風呂場に向かった。
* * *
突然の彼の来訪に、首を傾げながら、桃色の髪をした少女は呟いた。
「どうしたんでしょう、ユーリ……」
彼が自分のもとに慌ててやってきて服を貸してくれ、なんて不思議でしょうがない。窓から、駆ける彼の姿を見て、少女は再び首を傾げたのだった。
▽
エステル登場フラグ立ててみました(笑)
ヴェスペはノベライズしかないので、登場させるのには少し抵抗があるわけですが、いざ出してみると楽しいですね。
フレンとかレイヴンとかも出してみたいんですが、ゲームをやらないとキャラクターが掴めないという^q^
ちなみになぜエステルかっていうのは、ノベライズがエステル視点だったからってのと、ヒサギとサイズが合いそうなのが彼女だったから。
ジュディほど長身でもナイスバディでもないし、リタっちだと小さいかな、と(笑)
でもヒサギは個人的に、娘たちの中でいちばん胸はでかいです(どうでもいいわ)