VSシリーズ番外編
( 10/04/12 00:26 :小咄)

ヒサギを同居させることにした日のこと。追いかけられて走り回ったせいで、ユーリもヒサギも汗や泥で汚れてしまったため、とりあえずお風呂に入ることにしたのだった。
ユーリは、先に入るなんて悪いから、と遠慮するヒサギを無理矢理風呂場に追いやって、先に入浴させることにする。我が身ひとつでこの世界に降り立った少女には当然ながら、予備の服がない。それも見越した上で、ヒサギは入浴を拒んでいたのかも、とユーリは思う。
あり合わせではあるが、とりあえずシャツやズボンを用意して脱衣所に放る。ヒサギが出てきたのは、それから暫く経った後のこと。

「ユーリの服……大きいね」

「……」

案の定というか、何というか。多少サイズが合わないことは分かってはいたが、少しばかり大きすぎたようで。元々来ていたワンピースも胸元が開いているが、それと同じくらいのはず――だが、妙にそちらが気になってしまう。

「服、借りてくるわ」

「……え?」

気まずさに耐えかねたユーリは、きょとんと目を円くするヒサギをおいて、家を飛び出した。あの格好で一晩を過ごさせることに抵抗を感じるなんて、自分もまだまだ健全な若い男だということか、なんて頭の隅でユーリは考える。





「悪いが……これに着替えてくれ」

「? ……分かった、着替えてくる」

ヒサギは首を傾げたまま、差し出された服を受け取る。それはちゃんとした女性用の寝間着だった。しかもなかなか値が張りそうな綺麗なもの。新品ではなさそうだが、これを一体どこで手に入れてきたのか。ヒサギは疑問に思って首をひねる。

「……お友達の?」

「ああ、ちょっとな」

そう言ってユーリは、がしがしと黒髪を掻いて風呂場に向かった。


* * *


突然の彼の来訪に、首を傾げながら、桃色の髪をした少女は呟いた。

「どうしたんでしょう、ユーリ……」

彼が自分のもとに慌ててやってきて服を貸してくれ、なんて不思議でしょうがない。窓から、駆ける彼の姿を見て、少女は再び首を傾げたのだった。







エステル登場フラグ立ててみました(笑)
ヴェスペはノベライズしかないので、登場させるのには少し抵抗があるわけですが、いざ出してみると楽しいですね。
フレンとかレイヴンとかも出してみたいんですが、ゲームをやらないとキャラクターが掴めないという^q^
ちなみになぜエステルかっていうのは、ノベライズがエステル視点だったからってのと、ヒサギとサイズが合いそうなのが彼女だったから。
ジュディほど長身でもナイスバディでもないし、リタっちだと小さいかな、と(笑)
でもヒサギは個人的に、娘たちの中でいちばん胸はでかいです(どうでもいいわ)

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