こん、こん、と単調なドアを叩く音で目を覚ます。こんな夜中になんだろう、と億劫な体を叱咤して身を起こす。
「だ、れ…?」
直感としか言いようのない恐怖心からか、ドアノブに手をかけることが躊躇われた。扉の目の前で掠れた声で尋ねる。
「俺さまだよ、俺さま」
「…ゼロ、ス?」
扉の向こうで「そうだよ、だから開けてくれ」とゼロスの声が聞こえた。
(開けちゃ、いけない…?)
本能的にはそう思うのだが、感情がそれを許さない。嬉しさにも似た気持ちで扉を開ける。
そこには案の定、ゼロスの姿。
「開けちまったん、だな…」
「…っ、どういう…?」
疑問を口にするも、その答えは分かっていた気がした。ゼロスから異様な雰囲気を感じて、一歩、また一歩と後退る。
「もらうぜ?」
「な、にを…?」
がっ、と引き寄せられて顎を持ち上げられる。その仕草に、形容し難い感覚が体を走る。
(あまい? …ちがう、こわい)
喉元にゼロスの吐息がかかって、それから…
「お前の、血をだよ」
(これは、きっと一夜の夢)
(そう、思うかい?)
▽
非常にサーセン/(^o^)\