ゲーセンへ行こう(高尾


「脇ががら空きだぜ!!詰が甘かったな!」
「フハハハ!バカめ!罠に決まってんだろ力みすぎだぜ死ねぇ高尾!」
「な、何だって!?……って俺が気づかないわけないでしょー、がっ!」

カァン!と甲高い衝突音を立てて盤上を勢いよく滑っていった円盤。
自慢の目で以て守備が甘いところを確実に突いているはずなのにどの位置に打ち込んでも絶対に打ち返してくる。
制限時間は着実に減っているが、今のところ俺たちの間に点差はない。ていうかどっちも一点も入ってないしね。

カンッ

「ちょ…待て…疲れた…おかしいだろホッケーくらいでこんな汗だくって」
「俺もだっつの…いい加減一点くらい譲ってよ…」
「と見せかけて隙アリィ!」
「だぁぁっ!ちょっと!なんで堂々と反則すっかな!」
「ちっ…防ぎやがったか…」

今しがた向こうがやったようにスマッシャーの下に円盤を敷き流れを一旦止める。
両者とも汗だくで肩で息してるし、目血走ってるし俺が考えてた放課後とちょーーーっといやだーーーいぶイメージ違うんですけど!
俺としては?キセキの世代たちの目も盗んで連れ出したわけですし?二人っきりで距離を縮めたかったっていうか?だっつーのに…

「縮まる所か一定の距離保っちゃってんじゃん!」
「なんの話だ」


ちっくしょう…お互いの陣地ラインが…ネットが憎い…。世界中探しても今エアホッケーにこんな憎しみ抱いてるの俺だけだよね。

ピーーーーーッ!


「あ、終わっちゃったよ」
「っかぁーーーッ疲れた!休憩休憩!高尾、アイス食おうぜ。向こうの自販にあった」
「いいねぇ!丁度小腹空いてたとこ」


アイスの自販機はフロアの端っこにあって、側に置かれたベンチに隣同士で(ここめっちゃ重要)座る。俺はチョコ、向こうはバニラのアイス。練習の後みたいに冷たい糖分が身に染み渡るわぁ…。
アイスを食う振りしてちらっと隣を盗み見た。

…一心不乱にアイス貪ってらっしゃる…。

ちびちびとアイスを舐めるなんて生温いことはせず容赦なくアイスを噛み砕いていくワイルドっぷり。
しかしまあそれすらこいつっぽいなあとプラスな感じに見えてしまうのは惚れた弱味ってやつなんかね。


「オニーサン、チョコも一口どうよ?」
「何っいいのか!」
「その代わりそのバニラも俺に一口くれるんならね」
「チッ仕方ねえな……」
「なんでそんな不服そうなんだよwwww」


けらけらと笑いながら食べやすいように俺はアイスを向こうの近くまで突き出す。
くくっ…真ちゃん見てるかよ…(見てない)
真ちゃんが一生かかってもできないはいあーんを今俺がしちゃうとこ指くわえて見てな…(見てない)


「はいはいもらいもらい」

ファ

「あーあー垂れる垂れる」

ヘァッ



「うーん…やっぱバニラだな!バニラが至高…おい高尾寝っ転がって物を食うな。俺じゃあるまいし」
「あ…あにゃ…な…なめっ…」


ていうかお前は寝っ転がって物食っていいのかよ!とかそういう突っ込みは今できそうにない。
今こいつが何したかっていうとわざわざ突きだしてやった手をがっしりと掴むまではまだ目を丸くするだけで済んだ。
んで自分のと同じようにむしゃあっとかぶりついたんだけど柔らかくなったアイスが食いついたときにどろっと溶けたわけね、うん。俺の手のほうに垂れたわけよ。ね。


それを!!!こいつときたら!!!


「高尾〜バニラ全部食っちゃった〜」
「バカ!!!ほんとお前バカ!ばかちん!!……っっっ好き!!!」
「そ…そんな好きなら最初からバニラ食えよ…」


そうじゃねえよ!


キセキとゲーセン(番外)
(typeT)

(真ちゃん…好奇心は俺をも殺すよ…)
(なんで緑間?)

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -