ゲーセンへ行こう(青峰、桃井


「このまま俺がぶっちぎりだ!!!」
「と見せかけて赤甲羅発射ー」
「きったねえええ!!なんてことすんだよ!」
「ははは俺が一位…!!!………あれ?」
「あ、やったあ私一位だー!」
「うん……桃井サンならいいや…」
「一気に8位になった…だと…」
「青峰ざまあ」



ひょんなことから青峰くんと私の終生の恋のライバルである彼とゲームセンターに来たわけだけど、レーシングゲームってこんなに面白いんだ。はまっちゃいそう。
つい楽しくてもう三回目だけど、青峰くんは一回も一位でゴール出来てない、下手なわけじゃないはずなのに…なんていうんだろ。詰めが甘い、のかな…


「もう一回!もう一回やるぞ次こそぜってー勝つ!」
「もうそれ二回聞いた」
「お前がゴール直前で邪魔しなきゃ…!邪魔しなきゃよお…!」
「そういうゲームなんだから諦めなよ青峰くん」


四回目のゲームを始めようと思ったけど、後ろに人が並んでたから一旦区切っておく。


「青峰お前連チャンで負けたんだから何か飲むもん買ってこいよ」
「そんなルールなかっただろ!」
「今作った。ほらお金あげるから」
「……なんか金多くね」
「俺と桃井サンの分に決まってんだろ早く行け。俺炭酸」
「俺のは!?」
「い、いいよ私は…悪いし」
「ジュースくらい遠慮しなくていいよ」
「でも……」

私を見下ろす彼の瞳はとても優しかった。
ハッ、騙されちゃだめよ私!ここで貸しを作ってテツくんを私から奪……そんな頭いい人でもなかったかな…。

「さつきいらねえみたいだし俺のでいいよな」
「じゃあお茶お願いね青峰くん」
「お前!!!」


青峰くんにあげるくらいなら貰っちゃうけど。

プンスカ怒りながら青峰くんは自販機へ。
残された私と彼。なんかちょっと気まずいかも…ううん、これは機会と取るべき。今のうちにこの人の情報収集しておけば後々役に立つかも。
そんな彼は鮮魚キーホルダーとかいうやたら生臭そうなUFOキャッチャーの景品を一心不乱に眺めている。


「……欲しいの?」
「えっ、い、いや別に!め、珍しいなーって…」
「…そうだね」


そもそも、何でこの人はバスケ部の皆からあんなに好かれてるんだろう。
見た目は怖いけど、かっこいいって部類みたい。でもみんなは見た目で人を判断する人じゃないし、何より人見知りの激しい大ちゃん…青峰くんがすごく気に入ってる。
テツくんも…そうよテツくんが…テツくんが…!!!


「あ、あの…」
「な、なに?」
「そんな睨まなくても…」


ど、どうしよう睨んでたかな。
ちょっと泣きそうな顔で彼は「あのさ」と切り出した。


「ぶっちゃけ桃井サン俺のこと嫌いなの…?」
「きっ嫌いでは、ないけど!…ライバル、だから」
「そのライバルってのが俺わからん」
「だって…!!」



テツくんがやたら嬉しそうにあなたのこと話すから!テツくんがあなたを見る目が他の人と違うのは一目瞭然だしいつもくっついてるから…男の子っていいよね!羨ましいよ!私だってテツくんにくっつきたいけどそんなもう…い、言わせないで!でも恋は障害が多い方が燃えるっていうし私も今その状態だからあなたをどうこう言うつもりはないの、ただ尋常に勝負あるのみって考えてるだけでゴホッゴホッ


「の、ノンブレス!大丈夫ですかちょっと…!!」
「だ…大丈夫…!!」
「ていうか…桃井サン黒子好きだったんだ…」
「えっ」
「てっきり青峰が好きなのかと」


私が!?よりによって青峰くん!?


「ありえないよ!!」
「あ…そうなんだ…タイプが黒子みたいなのってこと?」
「た、タイプっていうか、好きになったのがテツくんなだけで…」
「なんだ、よかった」


ほっと胸を撫で下ろして笑う彼。
そっかそっかって頷いてるけど、私には理由がわからなかった。

青峰くんのことを私が好きじゃなくてよかった、ってこと?
あれ?…あれ?もしかしてこの人…


「(好きになった人がタイプってことだよな、さすがに幼馴染み相手じゃ分が悪い…俺も勝ち目あるかなあ…)」
「(もしかして青峰くんが好きってこと…?)」
「(しかし黒子と俺じゃタイプ真逆…)」
「(だ、だとしたら応援しないと…!!お互いのためにも…!)」
「(うん…頑張ろ……)」
「(頑張らなきゃ…!)」

「おい買ってきたぞー」


戻ってきた青峰くんに飲み物を渡される前に取っ捕まえて耳を引っ張る。



「イデデデデ!んだよそんなに茶ほしいのかよ!」
「私応援するから青峰くんのこと!」
「ハア?」
「ちょっと耳貸して!」


訝しげな目線を送る彼の前で、私が出した結論を青峰くんに告げると、見る見るうちに青峰くんの目がキラキラ輝きだして一目散に彼にしがみつきにいった。


「ギャアア!なんだてめええ!暑苦しい!!」
「そういうことは早く言えよ…さつきよくやった」
「頑張ってね青峰くん!」
「え、ちょ、なんの話」
「あっゲーム空いたよ!もう一回勝負しよう!」
「青峰離れろ!!桃井サンに誤解される!」
「照れんなよ」
「ちげえよ!!」


大事な幼馴染みのために、私も一肌脱がないとね!



「私が勝ったら青峰くんの家に泊まりにいってね!」
「なんで!?」
「俺が勝ったら俺がお前んち行く」
「誰か通訳ーーー!通訳をお呼びしろ!!!」


ハンドルを握る手に一層力が篭る。負けられない戦いが今私にもある。



キセキとゲーセン(type:D,A&S,M)

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