B




「かあさま。とうさまみたいなのをニートっていうんでしょ?」


高い外国車の助手席に座って娘は声高らかに言った。
その潔さに赤司はついふっと吹き出す。


「ニートとはnot in education employment or trainingの略で教育を受けない、労働をしない、職業訓練をしない屑のことだね」
「じゃあとうさまはくずなの?」
「それを@@に言ったらいけないよ。泣くから」
「だっていっつもお家にいるし。かあさまは毎日お仕事してるのに!」
「征華、角しまいなさい」
「あやや…」



赤司の血を引いている彼女が鬼であることは致し方ないことだ。そろそろ制御の仕方をちゃんと教えないといけないと赤司は短い角を手で押さえる娘を見て思った。
思ってくれるのは喜ばしかった。敬いの心を早くから学んでいるとはさすが自分の娘…というのが赤司の心境であったがそれも赤司のカリスマ性があってこそ。



「いいんだよ。@@にずっと家にいろといったのは僕だからね」
「そうなの?」
「そう。それに@@は屑じゃない。@@は僕よりずっとすごいやつだ」
「かあさまより?」
「ある意味そうだね」


何をしても絶対勝利を納める赤司より@@のほうが優れているというのは娘には理解しがたいようでずっと難しい顔で首を傾げている。


繋ぎ止めるのは容易ではなかったと赤司は思い返していた。
何でも手に入る、どんなことでも思いのまま。でも@@にだけはそれが適用されなかった。しかし赤司はそれでもよかった。
@@だけは身命を賭して持てる全てを出し尽くし手に入れると誓ったのだから。


「じゃあとうさまってほんとはすごいんだねえ」
「そういうことだ。征華も将来そういう人を見つけなさい」
「なら征華とうさまとけっこんするー」
「それは許せないな」
「かあさま角出てる…」



相手が娘だと仕方ねえなーとか言って受け入れそうだと赤司は思った。

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