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30000ヒット記念アンケート上位三人とのドタバタ結婚話緑間編。至って普通に結婚してたり大人だったりするので、パラレルとして受け止めてくださいね。









「真太郎、俺の靴下ど」


ガシャンバリンッパーーーーン!!!ドサドサーーッ


「こー……」



淹れて5分も経っていないアールグレイは派手に床にぶちまけられ、カップの破片が散らばりとどめとばかりに医学書が数冊落ちて被さった。
やらかしたご本人は「何をする」と言いたげに真っ赤なしかめっ面で振り返った。


「いい加減慣れろよお前……」
「ふ、不意打ちをするなと何度言えばわかるのだよ!」
「ただ名前呼んだだけだろーが!生娘かおめーは!!」



慣れないものは慣れない、ぶつくさ呟きながら割れたカップの破片を拾い集める緑間と@@は所謂新婚さんである。
将来のことも考えて…と若いながら高収入の緑間がローンを組んで買ったマンションでなんとまあ二人暮らし。

節約しろと緑間は口煩いが今のところ不便はない。生活面は。


「ほら手怪我すっからどきなさいよ、俺がやるから…どけっつの!こらおい緑間!!」
「何故名字で呼ぶのだよ!」
「もぉおおおーーー!!めんどくせえなお前はよーーーー!!!」


交際期間約6年。2190日。地道に地道に距離を縮めやることもやっちまってゴールインまでした二人なのに結婚した途端に緑間がよそよそしい。
どこかソワソワしていて逃げ腰なのだ。
なのに@@が退くとズカズカ歩み寄ってきて胸ぐらを掴む。ツンデレもここまでくれば病気みたいなものだ。

不治の病を抱えるやつが医者とは世も末である。



***



「めんどくさい、と言われた」
「うん@@正しいと思う。真ちゃんマジめんどい」
「貴様フォローする気がないのか」
「っつーかこのやり取り何年目よ?俺もう飽きたわ」


つい朝方のそんなやり取りを医局で大真面目に高尾に報告してみれば返ってくるのは苦笑い。ぞんざいな扱いを受けて緑間は非常に遺憾であった。

真面目に聞け、と緑間が親の敵でも見るような目線を突き刺してくるので高尾ははいはいと慣れた口振りで受け流しつつ、キャスター付きの椅子を引っ張ってきて緑間のデスクに横付けしつつ座る。
見捨てはしない、このハイスペックさこそ病院一のモテ看護師の秘訣かもしれなかった。


「今更どうしろというのだよ」
「真ちゃんさ、頭いいのにそういうとこ要領悪いよね」
「努力はしているのだよ。いざ@@の顔を見ると言葉が出ないだけで」
「結果的に出来てないんじゃん」
「……結果はそうだが、そこに至るまでの経緯だって重要なはずだ」
「至るまでに躓いてんのに?」


バシッ


「いってぇえーー!!ぶたないでよそんな分厚いので!」
「揚げ足を取る方が悪いのだよ!」
「あたた…真ちゃん家でもこんなんじゃないでしょーね…」
「……」
「はー…@@の苦労が思いやられるねこりゃ」


高尾を殴ったような全678Pの医学書で殴りはしないが、今朝のように不意打ちされて照れ隠しにラッキーアイテムで殴り付けるのは割りと日常茶飯事だ。バー●ー人形で一撃かまして人形の首が取れたのは記憶に新しい。



「殴る、蹴る、絞めるはご法度!下手したらDVだっつの!」
「やりたくてやってるわけじゃない…」
「無意識が一番やばいの!意識して@@に優しく!愛想つかされても知んないから!まーその時は俺が貰……」
「@@が……愛想…」
「えと、し、真ちゃん?ジョークよ?」
「……別居……離婚届…」
「ごめんほんとごめん軽率だった。大丈夫@@そんなやつじゃない」


背中に背負った靄に押し潰されるように緑間の背が丸まっていく。
頭がいい人間というのはどうしてこうも深読みしてドツボにはまっていくんだろうか……


「高尾さーん、検診いきますよー」
「りょ、了解っすー!…真ちゃん、まあその、気を落とさずに」
「落としてない……!!!」
「まず涙拭こう…?(どこまで予想したのこの子…)」


そんな心配しなくたって、ここまでついてきた@@がそう簡単に離れやしないと思うけど。という言葉は高尾はあえて飲み込んでおいた。
だって緑間自身が気付かなかったら意味がないじゃない?


「ほら真ちゃんも仕事仕事」
「わかっているのだよ」
「それでこそ俺たちの緑間センセー!…んにゃ、結婚したわけだし**センセーって呼ぶべき?」


緑間がデスクの上のものを引っくり返して崩れ落ちた。


「あっ、うん、だめだわこれ」

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