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「しっかし…マジで女だな…すげえな…」
「俺を誰だと思ってんスか。変化には結構自信あるんスよ」
「ま、この顔じゃあいつらも食い付くわな」


顎を持ち上げて@@は黄瀬の顔を覗き込んだ。
整ってはいるが、元は黄瀬と考えるだけで普通@@を襲う女子に対する羞恥はゼロに近く細部まで見てやろうとぐっと顔を近付けた。


「……何目つぶってんだてめえ」
「えっ、キスでもしてくれんのかなって…」
「するかバカ!お前じゃたつもんもたたねえよ」


ぱっと手を放した@@は黄瀬に背を向け机にほっぽったドリンクを一口煽った。
きらり、黄瀬の目が黄金に光る。


たたぬなら、たたせてみせようホトトギス。

無防備な背中めがけえいっと黄瀬はしがみついてみた。
二口目を飲みかけていた@@の口から飲料が迸る。


「な、何してんだてめえは!」
「ほんとにたたないのかなって」
「たったたねえよ!つかお前…!!」


些末ながら、背中にちょっとした膨らみが押し付けられているのを薄いシャツ越しに@@は感じ取ってしまった。
なんというか、布地をそう何枚も隔てている感触ではない。



「あ、あのぶっぶぶ、ぶら、じゃーとかそういう…ものは…」
「してないッス」
「ほぁっ!?」
「制服、姉貴から借りたんスけどブラジャーはさすがにサイズがあわなくて」


えへっと黄瀬は茶目っ気溢れる笑みを溢す黄瀬。
@@の体に、引き始めたはずの汗が再び噴き出した。
これは黄瀬これは黄瀬これは黄瀬!!脳内でシャララとうざったいウィンクをかます男の黄瀬を思い浮かべ@@は黄瀬を引き剥がそうと振り返った。


「(女だーーー!!)」

目をつぶって振り返ればよかった。
@@の網膜に焼き付くのはたしかな女体を我が物とする黄瀬の姿。
今さら意識なんてするはずないと自分に言い聞かせても、手が震えた。
そしてその手を黄瀬がぱっと握り、あろうことか


「ぶあっ!?」
「ん、」


自分の胸に宛がってしまったではないか。


「やややめろ変態!!!せっせせセクハラだぞこれは!」
「同意だったらいいじゃないスか」
「俺は同意してねえ!!」
「今逃したら@@っちが女子の胸触れる時とかないと思うッスよ?」
「ふふふざけんな!胸のひとつやふたつ…!」
「俺だったらなんも文句言わないからほら」


触っていいんスよ、と黄瀬は更に@@の掌に胸を押し付けてくる。
小さいが確かに感じる柔らかさに@@はつい生唾を飲み込んだ。
ぴくりと指を動かすと微かに指が、胸に沈む。


黄瀬が少し背伸びして、唇の端に小さく音を立てて口付けた。
薄く桃に色づいた唇が離れてすぐ笑みを刻む。


「あはっ…@@っちの嘘つき」
「…!…!!」
「勃ってるじゃないッスか」



黄瀬の細い指が芯を持ち始めた@@のそれを撫で上げたとき、かっと@@目が見開かれた。


「オゴォッ!!」
「うわぎゃーーーー!!@@っちー!」
「あぶ…う…」
「だだだ誰か救急車ー!!」


今度は@@が鼻血を吹いた。




その後部活続行が困難になるほど鼻血を垂れ流した@@は黄瀬なんかに…黄瀬なんかで…とうわ言を繰り返しサッカー部の監督に黄瀬同伴のもと家に送り届けられた。
無事に@@が体を休められたかどうかはさだかでない。


それから青峰にエロ本を見せつけられると@@は「おっぱい怖い!!」とガタガタ震えるようになるのが暫く続いた。


その他、@@に彼女がいるとか出来たとか、そのことでこの先も@@は苦しめられることになる。問題は山積みだった。



狐の誘惑

(@@っちー!今度は生で触ってもいいんスよ!)
(こっちくんじゃねえ!!)

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