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注意

拍手でコメントいただきました黄瀬くん女体話です。
苦手と感じられる方はここでお戻りいただけると幸いです。


大丈夫であれば下からどうぞ!











「飯だって金だって多い方がいいに決まってんだろ。つまりでかいほうがいいんだ。でかけりゃでかいほど夢とロマンが詰まってる」

「愚かな、実にお前は愚かだよ青峰」

「何だと……」

「ならお前は練習量が多い方が嬉しいか?テスト範囲は膨大なほうがいいのか?何事もほどほどが一番だ。練習もテストも自分の手で乗り越えてい
くほど達成感がある、そう……育てる楽しみが!」



「何の話をしてんですか君達は」


「「おっぱいの話」」
「最低。最低です青峰くん」
「何で俺だけ!!」

がなる青峰を押し退けて、今の今まで黙りこくっていた黄瀬が切羽詰まった顔で@@に向かい身を乗り出した。


「け、結局のとこ!@@っちは巨乳と貧乳、どっち派なんスか?」
「何でお前そんな必死なの」
「いいから!」
「いやまあ…おっきい方が嬉しいっちゃ嬉しい…何言わせんだ!!」
「結局お前だってでかいほうがいいんじゃねーか!」
「なんにせよ、大きい声で話すのはやめたほうがいいと思いますよ」
「テツはどっち派なんだよ」
「@@くん派ですかね」
「……え?」


最後の方の会話は、黄瀬には届いていなかった。


女性の胸、というのはただ単に脂肪の塊に過ぎないが男からしてみれば己の体には自然に実らない神秘の果実。大きい方が嬉しい、ロマンがある。
その考え方は男である黄瀬にも理解できた。
しかしながら黄瀬は、その神秘の果実を自分の体に宿らせる不自然の塊なのであった。


「ぐっ…!!!ぐうう…!!」


黄瀬は拳を力強く握り締め、自室の姿見の前で唸っていた。
額に汗を浮かべ、歯を食い縛り鼻息も荒い今の彼にきらめくモデルの面影はこれっぽっちも無い。


「っだぁーーーー!!無理!無理だってばもーーー!!」
「涼太うるさい!!」
「ギャッ!勝手に入ってくんなよ!」
「……何やってんのアンタ」


頭を抱え、叫び声を上げた直後姉二人が鬼の形相で乗り込んできてしまった。黄瀬は咄嗟に胸元を両手で隠し縮こまる。
怒り心頭の顔から一変、二人の姉は怪訝そうな顔で弟を睨んだ。


「確かにさあ…昔からアンタに面白がって女装とかさせたけども」
「ついに目覚めちゃったか…」
「ちっげーよ!出てけってば!」
「いやあたしらは否定しないよ?」
「いんじゃね?弟より妹の方がいいし」
「「でも涼太胸ないな」」
「うるさい!!」


黄瀬弟はヒステリックに叫んだ。甲高い、明らかに女性とわかる声で。

黄瀬涼太、ひいては黄瀬一族は生粋の狐の化物の血を引いている。
狐の得意技と言えば幻術、そして過去に@@の手助けにも一役買った変化である。
意中の相手に気に入られるため、黄瀬は姉に面白がられるからと決して手を出さなかった『女体への変化』を試みてしまったのだ。


ベースは男の黄瀬自身であるため、足は細くすらりと長くウエストもきゅっと締まっていて顔立ちも整っている。さらさらと流れる金糸の髪も魅力の1つ。ただ、ただ…胸が。


「頑張ってBかな、うん」
「限りなくAに近いB」
「まじまじ見んなっつの!」


姉たちのダメ出しは止まらない。自分達が結構でかいからって言いたい放題だ。黄瀬は泣きたかった。女体だったら@@もなびくのでは?と妙な自信を抱いた数十分前の自分に殴ってやめろと言い聞かせたい。
泣く泣く変化を解いて元の姿に戻りながらシャツを着た。



「(ここまで胸がないとは思わなかったッス…)」


「まあそう気落とすなよ涼太」
「ていうか急にどうしたわけ?マジで目覚めたの?」
「違うつってんじゃん…ほんともう出てってくんない…」
「あ。あたしわかっちゃった〜あれっしょ、『@@っち』」
「(ビクッ!)」
「誰だっけそれ」
「涼太の学校のさあ、涼太がストーキングしてる子」
「してねえよ!つか何で@@っち知ってんの!」
「涼太の試合の応援行ったとき会った」


黄瀬は頭の上に疑問符を浮かべた。@@が試合を見に来てくれたことなど一度たりともない。誰に言われたって用事があるから、とか部活だから、と断るのを黄瀬自身も経験している。


「それいつの話」
「先々週」
「ああ、あの背高い子か」
「そうそう」
「もしかして姉貴、@@っち逆ナンしたんじゃないだろな…!」
「違うわ。向こうから声かけてきた」


先々週、気紛れで姉二人は弟の勇姿を見守りに一般人の観戦が許可されている公式試合をこっそり見に行っていた。何かヘマでもすれば家で冷やかしてやろうという悪戯心と、素直に弟の試合を見てみたいという気持ちからだ。帝光の試合が行われるだけあって観戦客な数も結構なもので、立ち見の場所を陣取っていた二人だが、突然背後から名前を呼ばれたのだ。



『黄瀬!お前何やってんだよ!』
『は?…誰?』
『え、あれ、黄瀬が二人…あれ、あっちにも黄瀬がいる…あれ…』
『涼太の知り合い?』
『えっと、まあ、その』
『うちら涼太の姉です、はじめまして』
『…!…!す、すいまっせん間違えました…!』


少年は姉二人とフィールドで開始の礼をしている黄瀬を見比べて青くなった後、赤くなりながら顔を手で覆った。


『確かに似てるって言われるけど、弟と間違われるのはなかったわ』
『いやあの…お…同じにおいが…したので…』
『ちょ、においって…この人もしかして涼太の追っかけとか?』
『何であいつなんか!むしろ追っかけられてるの俺…あ、じゃなくて…』


少年は周りに聞こえないよう気を配って、お姉さんたちも狐じゃないですか。と呟いたのを聞いて姉たちは合点がいった。


「そこからちょっと話して仲良くなっちゃった」
「何勝手なことしてんの!?」
「試合はさ、気が散るだろうからこっそり見てたいんだって。気づかれなくても応援はできるからって」
「え…ま、まじで…!?@@っちがそう言ってた!?」
「うん。名前聞いてびっくりしたわ。アンタがよく携帯見てハアハアしながら言ってる名前だったし」
「ハアハア!?」
「無自覚かよまあいいけど…」


姉たちは狐らしく目を細めて至極楽しそうに笑い始めた。
この笑いかたはよくない。悪いことを考えている顔だと生来共に過ごしてきた弟は悟り後ずさった。

「中々いい男だと思うよ?うちらのことわかるんならめんどいこともないだろうし…」
「しーっかり彼キープしといてほしいのよ…ね?」
「こ…来ないで!!」
「「お姉さまに任せなさいよ」」


その夜、黄瀬宅から朝日がのぼるまで奇妙な叫び声がしきりに上がってたとかなかったとか。


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