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こう考えるきっかけになったのは青峰の狼男事件だ。
この方法ならば普段暑苦しいだとか可愛くないだとかで男の接触を嫌う@@が唯一思うがままにあまぁーくなってくれるはずだと。
耳があればいい、尻尾があればいい、手触りのいい毛皮があればいい。
人の形でなければ、そう、尚更。

見せたいものがある、と部活中黄瀬に呼び出された@@は不機嫌そうな顔で部室にお邪魔したのだが、眉間のシワもひんまがった唇もそれを見て一瞬で吹き飛んだ。



「ふおお…ふおおおお……!!!」
「いいんスよ?触っても」
「これは黄瀬!これは黄瀬…!もふもふのふわふわでも黄瀬…!」
「そんな葛藤しなくても…」


腕を、いいや全身をぷるぷるさせながら行き場に困る手をふわふわさせている@@の前にちょこん、と獣が座っている。
見るからに手入れの行き届いた黄金色の毛皮がある、極上のもふもふ加減を見た目だけで主張する尻尾が誘うように揺れている。触りたい。しっちゃかめっちゃかに撫で回したい。@@の欲望は留まることを知らない。

しかし残念ながら、その正体は狐に化けた黄瀬なのだ。
@@躊躇う理由はそこにある。


「今だけッスよー戻っちゃうッスからね」
「ああああああうあああああ!」


するりと@@の足元に擦り寄ってくる狐。嬉しそうに目を細めているのがまた可愛らしくて@@は頭を抱えて叫んだ。



「@@っち?」
「うぐ、ううう…!」



きゅるん、なんてオノマトペがつきそうなほど円らな瞳で黄瀬が見上げてくる。
いやらしいほどのイケメンっぷりなんてない、モデルの顔もない。あるのは庇護欲を刺激する愛くるしい狐の顔だ。



ぷつん、
我慢の限界がきたのか@@の頭のどこかでそんな音がした。


「無理ぃいいいい!!!うわああもふもふだふわふわだ畜生悔しいィイイイ!!」
「それでいいんスよ…!!ほわぁあ@@っちのにおいー!!」
「やめて嗅がないでいやでもかわいいからって許す俺が憎い!!」


心行くまで@@は抱き上げたふわふわの毛皮に頬擦りする。
きゃんきゃん嬉しそうに鳴きながら黄瀬は無防備な@@の首筋に鼻先を押し付け今がチャンスとばかりにベロベロ舐め回した。


「あー…幸せッス…」
「ふひひ…超もふもふ…」
「あわっ、@@っち尻尾さわさわされるとくすぐったいッス!」
「だって超気持ちいいこれ」
「うひゃわっ!!」


片手で黄瀬を抱き上げたままもう片方で感触をしっかり確かめながら強弱をつけてふさふさの尻尾を握り込む。


「あ、あぅ…だめっすよ@@っちぃ…」
「だめとか言いつつ体は正直だぜ黄瀬」
「仕方ないじゃないッスかぁ、だって@@っちだもん…」
「かわいいなお前」


黄瀬の蕩けた瞳に映るのは口角をあげて真っ赤な舌をちろりとみせる@@。
もうどうしよう!むしろどうにでもしてくれ!
と、なお一層すりよりながらか細く鳴いて力の抜けきった体を預ける黄瀬なのであった。

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