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高そうな料亭の豪勢な食事を前に、生唾を飲んだ。


「遠慮せず食べてくれていい」
「いやしかし…ですね…」
「父さん、@@は緊張してるんだ。それに急かさなくても僕が食べさせる」
「結構でござる!」
「いやあ見せつけられて困るなぁ」
「今現在困っている俺は無視のようで…!!」


一悶着あった赤司家騒動から暫く経ったときのこと。
@@の休日は「今日暇だろう?ちょっと来てくれ」という赤司のひとつの電話でぶち壊された。逃げようと思ったら玄関に待ち伏せしていた揺れの少ない黒塗りの車に乗せられ有無を言わせず創業百何年とかいう老舗の料亭に連れ込まれた。待ち構えていたのは、もう顔をあわせないだろうと踏んでいた赤司の父。


「ほら@@伊勢海老だぞ」
「わあ味がしない!おいしいけどなんか味がしない!冷や汗の味がする!」
「そう気を張らないでくれ。いずれ家族になる身だ」
「なにゆえその体で話が進んでいるのでしょうか…!」



緊張とか緊張とか緊張とかで心臓が爆発しそうだった。
ここで赤司とそんな末長いお付き合いをするつもりはございませんなどとのたまえば料亭が血の海になるんじゃないか、口に残る伊勢海老の破片を噛み締めながら@@は震えた。


「手塩にかけて育てた息子だ。嫁にやるのは気が引けたが…」
「そのままお引き取り頂いて構わないんですが…」
「征十郎が選んだ男なら文句はない」
「文句つけて!バンバンつけてくれていいんですよ!」
「僕の目に曇りはないよ、父さん」
「そうだな、愚問だったか」
「お家帰りてぇ〜……」


若いものにこれ以上口出しするものじゃないな、と赤司父が言えばそれ以上の干渉はなかったものの雲行きの怪しい自分の将来のことを考えるととてもじゃないが飯など喉を通らず。いつか式の日取りが決まったら教えてくれ、なんて言われてついに@@は白目を剥いた。


(今度は@@のご両親にもご挨拶しないとな)
(うちの父ちゃんが死んじゃうからやめて)



ありがとうございました!

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