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助けてくださぁい!!!
某世界のど真ん中でラブを叫ぶあれよろしく人の生死を目の前にしたような切羽詰まった声でグラウンドに乱入してきたエプロン姿の女生徒たちに目をひんむいたのは数分前のことだ。
何がどうしたと訳を聞いてみれば

「あなたがモテるのがいけないんです!」
「部長が…部長が餌食に…!」
「お願いしますあのカラフルな武将を止めてください!」


武将ってなんだよ…
@@がその答えを聞く前に、@@の身柄は拘束され女生徒たちが合戦場と称する場所へ引きずって行かれた。



ほ、ほんとに戦争してる…


扉を開けたままの状態で@@は白目を向いた。
家庭科室の扉を開けた途端におう火薬のようなきつい臭い。
各々がフライパンやら包丁やらで武装し戦意を剥き出しにしている。
部屋の隅で怯える部員たちはさながら捕虜のよう。


「満足に料理も作れないで@@の嫁だなんて片腹痛い。オリジナリティの欠片もない涼太の料理じゃあ無理だよ」
「料理は愛情なんスよ!胃袋さえ支配しようなんてえげつないことする赤司っちからはそれが感じられないッス!」
「なんですかこの汚物。青峰くんセンスないですよ」
「色すらついてねえお前に言われたくねーよ!」
「ミドチンなんか嫌われちゃえばいいんだ…」
「お前が嫌われるのだよ…」


なんとかしてよ、と家庭科部部員たちが@@をすがるような目で見てくる。捕虜となった部員たちを逃がしながら頭痛のする頭をおさえて、@@は息を吸った。



「何やってんだ…!!!」



全員の振り向くスピードたるや、凄まじいものだった。
鬼気迫る眼差しはさすがの@@も肩をびくつかせるほど。え?俺なんかした?


「@@も来たことだし…ジャッジは@@に任せようじゃないか…」

赤司の言葉に全員が異議なし、と頷いた。
逃げたほうがいいかな、@@はそう感じ取って後ずさるのだが黒子が影を伸ばし緑間の呪符が行く手を遮り退路を断たれてしまう。


「いやあの、何やってんのねえ…」
「誰が@@くんと一生を添い遂げるに相応しいか、料理で決めようかと」
「ハア!?」

戦況がヒートアップしすぎて、いつのまにか趣旨がすりかわっている。

「ねえ@@はミドチンより俺だよね!?」
「でしゃばるな紫原!おい@@、お前が日々俺を鬱陶しいと思っているというのは本当か…!」
「ええなんのはなし…ていうか何で泣いてんの」

こちらはもう料理の話ですらない。


「@@が言ったんだろ、料理ができるやつが好きだって」


青峰の台詞にそんなこと言ったっけか…と@@は頭を悩ませる。
雑誌の取材など緊張のせいで己の言葉なんて記憶の彼方。
頭をひたすら混乱させていたらさあさあと@@はテーブルの一角に座らせられる。目の前にある、皿に盛り付けられた料理、らしいブツの数々…

「これが料理だと…」


危険物の間違いだ。そうに決まっている。
食べることが大好きな@@でも、ゲテモノは食せない。
冷や汗が止まらなかった、カラフルな瞳がさあ!食え!と実食を促してきている。添い遂げるのがどうとか言っていたが、こんなもの食べたら料理で人生が終わってしまう。いまここで料理と添い遂げてしまう。


@@は考えた。



「そのさあ…料理してくれんのはまあ…嬉しいっていうかね?」
「じゃあ食えや」
「なにその消し炭みたいなの!やめろ青峰!」
「俺のシチューが先ッスよ!」
「なんで白いのにコーヒー臭すんのこれ、ちょ、いいから聞け!」


ばん!と@@机を叩くと騒いでいた六人が一斉に静まり返る。
どうなるかはわからないが、今ここを乗りきる最善の方法はこれしかない。深く深呼吸をして@@はそっと呟いた。


「俺、料理は作ってやりたい派だから添い遂げるならうまそうに食べてくれるやつがいいなあ!!」


若干棒読み。しかも語尾が上擦ってしまった。

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