「違う。そこの公式はそうじゃ…いやだから!何でここでこんな数字が出るのだよ!」
「わっかんねーもん!なんかそれっぽいこと書いてりゃいいだろ!」
「いいわけないのだよ!初めからやり直せ!」

1時間前から何べんやってもまともな答えが出てこない。@@の数学のテキストは書き直しと赤ペンならぬ緑ペン先生の修正でぐちゃぐちゃになっている。
@@は頭を抱えて机に突っ伏したかったが赤司と緑間に挟まれてそれすら叶わなかった。

「もういいじゃん緑間席俺の後ろだしさあ!カンペくれよ!ちゅーしてやっから!」
「…!…、いや…!このっ…!!ぐっ…!くそっ!!」
「ごめん冗談なんだけど…そこは「そんなもん要らないのだよ!」でしょうが…」
「すごい似てましたね今の」
「えっマジ」
「はい。腹立つくらいに」
「嬉しくねー……」
「つーか期末なんかまだ先なのによ、何でもうこんな勉強しなきゃなんねえんだ」


青峰の言葉に、@@と黄瀬が力強く頷いている。赤司が大袈裟なまでにふかーーーくため息をついた。

「もう忘れたのか。お前たち中間が散々だったろう」
「いやあれ青峰のせいだし」
「俺のせいかよ!」
「青峰のことがあってもなくても、お前たちの頭では赤点は不可避だったのだよ」
「めっちゃ貶されてんスけど」
「うっせーな!無理なもんは無理なの!中間がダメなら期末もダメでいいの!」
「いいんですか?だって期末のあとは夏休みですよ」

青天の霹靂。黒子の言葉に三人の顔があっ!という形で止まった。学生大好き夏休み。期末考査を脱した者だけが勝ち得る、フリーダムでフレッシュな一ヶ月間。
ーーーーしかし赤点が一つでもあれば遊びも部活も程ほどに、補修が義務付けられてしまう。確実に一ヶ月間の半分を奪われてしまうのだ。


「テツヤの言うとおりだ。練習を補修で潰されては敵わないからね」
「じゃあ俺関係ねえじゃん。バスケ部じゃねーもん」
「そんなわけないだろう。@@のスケジュールはもうほぼほぼ埋まってるんだよ。補修なんて受けさせないからそのつもりで」
「俺まだなんにも予定立ててないのに!?」

赤司の中では何やらスケジュールが組まれているようだが意味深に微笑むだけで教えてはもらえない。

「僕、あまり外に出るタイプじゃないんですけど」
「まあそんな感じよね」
「@@くんとは、海でも夏祭りでも、一緒に行ってみたいです」

だから頑張りましょう。と控えめに、しかしとても嬉しそうに言葉をかけてくれる黒子があまりにも眩しく見えて@@は目を細くした。

「が、がんばろっかなあ……」
「その意気ですよ」
「魂胆が見え見えッスよ黒子っち!言っとくけど俺もついてくからね!!」
「黄瀬くんは補修頑張って下さい。青峰くんと」
「ふざけんなテツ!!俺だって@@と海行きてえわ!!」
「行きたいならやれ。死ぬ気でやれ。大丈夫だ死なないから」

「「「はい………」」」




元々勉強に関して集中力が続かない三人だったが夏休みをダシにとられてはやるしかない。その後また1時間。頑張ったほうだ。時刻は8時を回っていた。
大分身体的にも精神的にもだれてきたのを見て、赤司が手を叩く。


「よし、一回休憩を挟もう。そろそろ食事のことも考えないといけないからね」
「あーーーやっとッスか!つっかれたー!」
「大してやってないじゃないですか」
「つーか敦が全然しゃべんねえんだけど。おい生きてるか」
「うぇ………むり…………お腹すいたぁ…@@なんかちょーだい…」
「なんも持ってねえよ」
「じゃあ@@の指とかでいい…かじらして…」
「やだよ!!」

紫原はエネルギーの消費を抑えるため、ずっと寝ていたらしい。成績に問題はないため、赤司も見逃していたのだ。
しかし起きた途端@@の手のひらをまじまじと見て涎を垂らす様はすでに限界を超えていることをありありと表している。

「赤司!俺の指食われる!飯どうすんの!」
「非常用の物資が倉庫にあるらしいから、それを取りに行くつもりだ」
「だってよ!ほら行くぞ敦!」
「無理……@@おんぶ………」
「しない!!あー…いや…はあ…ちょっとだけな…」





「なんか…@@っち今日異様に紫原っちに優しくないッスか?」
「あー…思った」

蒸し暑いこの時期に、あんなにぴったり引っ付かれれるのを@@はいつもなら嫌がるのに、今は紫原にされるがままその巨体をほぼおぶる形でずるずる引きずってやっている。
隣を歩く赤司や緑間も何故か何もせずにいる。

「俺がやったら非難ごうごうのくせに!」
「それは黄瀬くんだからでしょう」
「間違いねえな」
「ちょっと!二人して失礼じゃ、」

黄瀬が猛反発しようとしたときだ。
ピシャアアアアン!!!一瞬の稲光のあと、耳をつんざく激しい雷鳴が轟いた。

「ア゙ーーーーッ!!!!」
「わ゙ーーーーーっ!!?」
「うるさいんですけど」
「き、黄瀬がうるせえからびっくりしたんだよ!」
「はぁ!?なんで俺のせいなんスか!雷音すげーし!暗いし!夜の学校って不気味すぎんのがいけないの!」
「怖いなら二人とも教室で待ってればよかったじゃないですか」
「怖くねーよ!!」
「青峰っちとか頼り無さすぎだし嫌ッス」
「我儘にもほどがあるのだよ」

緑間に言われたらおしまいってなもんである。
ぞろぞろついてくる面子を振り返って@@が苦笑い。

「全員で行くこたなかったろ」
「人数分の食料やら寝袋やらを持ってこないとならないんだ。人手はいたほうがいいだろう。今の敦は使い物にならないだろうからね」
「まあ……うお、また光った」
「「ギャーーーーッ!!」」
「……勘弁してほしいです」

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