「第一回…!!危機回避における緊急会議を行う…!!一同、礼!!!」

地獄の底から這い上がってくる閻魔のような赤司の声にあの青峰や紫原まで律儀に頭を下げた。





部室に置かれた長机に全員で某新世紀アニメのゲンドウとかいうお方のポーズで真顔のまま座っているところから現時点の状況が一刻の猶予も許されない地点に到達していることを察してほしい。


「僕が何故お前たちを招集したか、理由はわかっているね」


緩慢な動きで全員が頷いた。


赤司は眼前で組んだ手をわなわなと震わせている。寒いだとか怖いだとかその類いではない。彼の筋肉を震わせる感情、それは怒りだ。


「まどろっこしいことなしでさァ…もうやっちゃおうよ、俺一発でやるし」
「待てや紫原、腸煮えくり返りそうなのはお前だけじゃねえんだぞ…」
「そもそも一発でなんか生易しいです。この世に生を受けたことを後悔するレベルでないと」


冗談かと思うほどにみなの言動が物騒だった。だがこの場に今冗談で物をいっている者など誰一人としていない。
ダン!と歯がゆそうな表情で赤司が机を拳で叩いた。


「うちの@@に限って…!」
「意義あり。@@は赤司の家の者ではないはずなのだよ」
「比喩だよ。真太郎はいちいち細かいな」
「んなこと言ってる場合じゃないッスよ!どうすんスか!このままじゃ@@っちがァ…!!」


わっと黄瀬が両手で顔を覆っておいおい泣き出した。
いちいち泣かないでくださいうざったい、と黒子が嫌悪を丸出しにしている。彼も苛立ちが相当募りすぎて言葉をオブラートに包むだとかそういう気配りが出来ていない。


「しょうがないじゃないッスかぁ…!このまま@@っちが非行少年になっちゃったらと思うと…!ぎゃあああん!」
「うるせーぞ黄瀬!!つーかよ、@@がヒコーショーネンとか今更だろうが!」
「でも@@、朝帰りとかしねーし」


青峰の言葉に紫原が間髪いれずに反論した。
口に運んだ板チョコを苛つきをぶつけるように荒々しく噛み砕いた。
大好きな糖分をもってしても彼の怒りは和らぐことはない。



あの二人が秘密裏に犯人探しを始めて3日。@@の生活習慣が少し変わったことにこの事態の原因がある。


まず一昨日、紫原は学校に遅刻した。@@が迎えにこなかったからだ。その@@が寝坊してしまったために。
遅刻大決定な二人は開き直って午後近くに学校に向かったのだが、「寝坊なんかめずらしー」と 紫原が言えば「昨日、つか今日朝帰りでさあ」と@@が言うもんだから衝撃を受けた。理由は聞いても言わなかった。


授業に出ても始終寝っぱなしでろくすっぽ会話も出来ず、痺れを切らした黄瀬が無理矢理起こそうとしたら割りと容赦なく殴られた。


誰に対しても眠いから、という理由で生返事しか返ってこない。
部活が終わったら一目散に帰ってしまい捕まえることも叶わず…。
3日経っても改善されず何があった、全員が不吉な考えをよぎらせた今日黒子から爆弾発言が投下された。



「つい最近、@@くんが女性の方と歩いていたという目撃談がありました」


全員のなかで何かが弾けた。



実際見たのは火神で、黒子はそれを確認していなかったが@@が非行に走り出した日と照らし合わせると丁度辻褄が合うわけだ。
@@はもしかして悪い女に捕まってるのでは。
ーーー実際は女装した花宮ですなんて誰が想像出来ただろうか。


「見敵必殺」
「悪即斬」
「手加減無用」


上から緑間、黒子、赤司である。
実際女性が相手でも六人は容赦しないだろうが、これが花宮だとわかれば大変な事態になってしまうだろう。花宮危うし。


「相手が誰だろうが許さねえぞ俺は…!胸がでかい女だったらもっと怒る」
「どっちに対してスかそれ」
「何だっていいよ、@@に手出すバカはみんな捻り潰す」




「やることは一つだ」

赤司が両目を見開き立ち上がる。
決勝戦に向かうような覚悟と気迫を携えて五人が続いて立ち上がった。
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