「ここに演劇部からかっぱらってきた紫色のカツラがあります」
「うん」
「これを青峰くんに被せます。なんということでしょう。紫原くんの出来上がりです」
「敦はこんなに黒くない目付き悪くないまず青峰は可愛くないやり直し」
「我慢してください」
「おいテツ、@@。お前ら俺に言うことはねえのか」
「「可愛くない」」
「ぶっ飛ばすぞ!!」


仲直りをするにあたり、@@には練習が必要だと判断された。
このまま行き当たりばったりで紫原と対峙させるのはあまりにも危険だと全員の意見が一致したのと「あいつと会って何話すの」と@@が真顔で首を傾げたためだ。

そのために用意した練習台なのだが


「仕方ないじゃないか大輝…真太郎は眼鏡がないとロッカーを@@と見間違えるから……ふふ、笑える…」
「緑間っちブフッ抜いたら次に体格…くふっ…似てるの青峰っちだから…あーー!!無理もう無理ッス!!あはははは!」
「犯罪級に気持ち悪いのだよ青峰」
「緑間代われよ!眼鏡かけてたっていいだろ!」
「リアリティにかけるから却下」
「お前は注文できる立場じゃねえだろうがよ@@……!!」


ラベンダー色のさらさらヘアーに青峰の人相の悪さはあまりにもミスマッチだ。若干の身長差はあれども後ろから見ると紫原に見えるぶん、振り向いたときの破壊力が絶大すぎて全員が笑いを押さえきれない。

「つべこべ言わずにやるんだ大輝」
「期待してますよ青峰くん」
「ふざけんな!!」

ややあって喚く青峰を宥めながら全員が位置につく。
監督は赤司。カンペ役に今日のラッキーアイテムスケッチブックが頼もしい緑間と助手に黒子、黄瀬は携帯でカメラを回している。



「じゃあとりあえずシーン1は普通に@@が敦を教室に迎えにいくのでいこう」
「喧嘩してんのに普通でいいの?」
「妙によそよそしくするより効果があるかもしれないだろう?大輝は椅子に座って@@を待て」
「へーへーわぁったよ」
「カット。敦はそんな言葉遣いしない」
「ここから!?」
「やるからにはなりきるべきだろうが!練習増やされたいのか!」
「赤司お前楽しんでるだろ!!」


丸めた雑誌を机に叩きつける赤司は言葉の通りの鬼監督。
リアリティ追求のためそっと黒子に差し出されたまいう棒納豆明太子スパゲティ味を持ってシーン1開始。



「あ、敦…」
「な…なん…なに…」
「その、えっと」


さっと黒子が頭上にカンペを掲げあげた。


「『何をそんなに怒ってるのか知らないけども』」
「う、うん…?」
「『そんなことよりやらないか』」
「えっ」

「カット!これはこれでいいが相手を間違ってる!」
「いいんだ!?」
「すみません僕の願望が」
「(ときめいたなんて言えねえ…!!)」


テイク2



「敦!!」
「なに…」



今度は緑間がカンペを掲げた。



「『さぞお怒りのことと…』え、なんて読むの?」
「うかがえますがだ!」
「う…『窺えますがこちらとしてはその原因及び言動の意図がわかりかねますのでお手数でしょうがお怒りの理由を簡潔に述べ』……長いし字小さいし漢字多い!!!」
「真太郎、カンペはすべて平仮名にしてやってくれ」



ワンマンでのカンペは無理らしいので、考えるのは黒子と緑間が協力する運びになってテイク3。


「敦」
「なに…(疲れてきた)」
「『ここで手を握る』」
「@@くん読んではダメです」


紫峰の手を控えめに握り、本人がはっと顔をあげたところで@@が顔を近づける。肌が黒いお陰であまり目立っていないが、演技だというのに
紫峰の目尻に朱が走る。



「『ごめんねするから許して?』」
「許す!!!!!」
「カット!!抱きついていいとは言ってない!涼太今の音源録れてるだろうね」
「バッチリッス!」



その後、廊下でバッタリだの部活に乱入だの突撃隣の夕御飯だの様々なテイクを挟んだが監督側が@@にただ言わせたい台詞を持ってくるだけで散々おもちゃにされた@@はついに憤慨した。


「ねえ監督!仲直りさせる気ある!?」
「あった」
「過去形!」
「この部活乱入編いいですね、すごく情熱的で」
「俺ならこれで許しちゃうッス」
「データ確認してんじゃねえよそこォ…!!」
7
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