※露骨にグロテスクな表現が含まれています。カニバです。夢ですが。ここを見なくても大丈夫なように話は構成していますので苦手な方はここでバック推奨







ばりっ、むしゃ、ごりっ、ばり、ばり…


どうやって家までたどり着いたかはわからなかったが、紫原はあのまま家にUターンしていた。家に着くなり戸棚を漁り、胸の空虚を埋めるようにただひたすら菓子類を貪った。
かっ混みすぎて時々自分の指をかじってしまいそこから血が出たがそれでも紫原は食べ続ける。

足りない。これじゃない。これでもない。


これじゃあ埋らない。



食べ進めるうちに食欲についで紫原を襲ったのは強烈な眠気だった。
チョコレートを手から取り落とし、紫原はその場に倒れこんだまま動かなくなった。


足りないよ。これじゃあ。俺がほしいのはこれじゃない。



はっと気づいたとき、紫原は何もない空間にいた。
呆然としていると、ふいに眼下から怒鳴り声がした。音につられて下を向けばそこには@@がいた。紫原は寝転がった@@の上に馬乗りになっているのだ。@@は口汚く紫原を罵っている。顔を怒りで真っ赤に染めて力任せに紫原をなぐりつけている。けれど紫原は痛みを微塵も感じなかった。
じたばたする体を押さえ込むとおもしろいほどうまくいく。@@の腕力はいつもなら一筋縄じゃいかないはず。下手すれば投げ飛ばされることだってある。なのに今はそれがない。ただされるがまま。


紫原は狂喜に唇を歪めた。


首を軽く閉めてやれば酸素の足りない金魚のように唇はくはくさせた。
苦しみながらも@@は罵倒をやめないので紫原は思いきりその唇に噛みついてやった。
唇もろとも回りの皮膚に歯を立てる。ぶつっ!と音がして歯が皮膚を突き破ったのがわかった。ゆっくり口を離すと@@の口の周りは血で真っ赤になっていた。あふれでる赤から、甘いにおいがして紫原はたまらずその血にむしゃぶりついた。

今まで食べたどんなものより甘い味がした。
天にも登るような美味に紫原は舌づつみを打ち今度は腕にかみついた。
やはり甘い。マシュマロのような弾力をもった皮膚を食い破る。吹き出す赤も残さず舐め取った。がちん、腕に噛みついていると歯に何か固いものが当たる。骨だった。肉を歯で食い千切り、露出した真っ白な骨にかじりつく。ごり、少し固いビスケットのようだった。これも、おいしい。

悲鳴は歌のようだった。
普段泣かないくせに@@はよく泣いた。その顔もかわいくて食を進ませるいいスパイスだった。
足も、手も、胸も、腹も、内蔵も、骨も、歯も全部食ってやった。


「ここおいしそうだねー@@」


仕上げに紫原は@@の眼球に指を伸ばした。
眼孔にぐっと指をつきいれゆっくりえぐりだして血にまみれた口の中へそれを入れた。噛み締めた眼球は葡萄のようでじゅわりとまた口内にあまい味が広がる。最後は右目。


「これでずっと一緒」


これでもう@@の目に写るのは自分だけ。
幸せで膨れた腹を撫でて紫原は無邪気に笑った。



やさしいあくむ
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