@@が早くっていうから、俺なりに頑張って早く着替えて家を出た。
@@は隣を歩いてくれる。俺より先に行ったりしない。でもすごく心配だったから俺は@@の制服の背中を引っ張った。
「なんだよ、お前今日変だぞ…あ、いつもか……」
「今日…やな夢見た」
「夢ェ?」
「うん…@@が」
「@@っちー!紫原っちー!」
俺はつい@@から手を離してしまった。
別の道から黄瀬ちんがこっちに向かって手を振ってた。黄瀬ちんの横には黒ちんとか峰ちんとかみんないて@@を見つけて嬉しそうだった。
なんで。いやだ。
「あ?お、おい敦!どこ行くんだよ!!」
何にも見たくなくて俺はそこから走って逃げた。
やっぱりあの夢の通りになっちゃうのかな。
@@はみんなに取られちゃって俺だけ仲間外れで@@はだんだん俺のことをキライになっていく。
胸のなかがからっぽだった。頭も真っ白。
置いてかれる置いてかれる置いてかれる置いてかれる置いてかれる置いてかれる置いてかれる置いてかれる置いてかれるおれだけ
必死に走ってたら俺は自分がどこにいるのかわかんなくなってた。俺がやっと止まったのは横から車のブレーキが聞こえたとき
キキィイイッ!!!!!
ばん、て体が固い地面に叩きつけられてぶつけた顔が痛かった。体の中の内蔵とかそういうのが浮いた感覚。これってもしかして、俺死んだ?
道に耳をくっつけてるせいで色んな音が聞こえる。遠くから何か騒ぐ音も聞こえる。全部全部遠い。もう死んだならそれでも
「おい!敦!敦!!」
全部の音が遠かったのに、その声だけははっきり俺の耳に届いた。
「死にてえのか!!!」
「うるっせえ!!てめえこそしっかり避けろや!!」
「あんだとクソガキャアア!!」
ひりひりする顔を押さえながら起き上がる。体はちょっと痛かったけど、俺は生きてた。
「ああ?なんだってえ?もう一回言ってみほら」
「す、すんませ…」
「この、事故は、おっさんが悪いので、次からは気を付けます。はいリピートアフタミー」
「し、信号無視してきたのはあっち「ア゛ ァン!?」す、すいません俺が悪うございました!!」
俺を轢きかけたらしい車の運転手はめちゃくちゃ怒って車から出てきたけど、@@に掴みあげられて青い顔で足をばたばたさせてた。
@@がもういい!行け!と手を離すとおっさんは慌てて車に乗ってすごいスピードでいってしまった。
@@は地べたに落ちた俺の鞄の埃を払って脇に抱えて「ん」と右手を出してきた。その手をぼーっと眺めてたら「ん!!」と手をもっと前に出してきた。
「どっか痛いか」
「…ううん」
「なら立てほら」
@@はずっと手を伸ばしてくれてたけど、それに捕まる気が起きなくて俺は自分で立ち上がった。@@がふんって鼻を鳴らしたのが聞こえる。
「急に走り出したと思ったら事故りかけてっし。お前何してんの」
「別に…何もしてないし」
「別にじゃねえ。理由があるからいなくなったんだろ」
「………@@には関係ないじゃん!!」
思いっきり怒鳴ると、回りの人が振り向いてて、@@もびっくりした顔。
でも@@はすぐ目をぎろって怖くして犬が威嚇するみたいに歯を見せた。
「なんなんだてめえは!何も言わねえ聞けば逆ギレ!助けてやったのに礼も言えねえのか!」
「助けてなんか言った覚えないし!」
「ああそうかよ!ならあのまま死んでてもよかったんだな!」
「そうだよ!」
「なら勝手におっ死んじまえ!!もう知らねえ!!」
@@は俺に鞄を強く押し付けてどすどす足音を立てながら俺の脇を通りすぎていった。
「@@は…俺より、黒ちんとか、赤ちんのが、いいんでしょ」
通りすぎてすぐちっちゃい声で言うとうるさい足音が止まった。
「ああそうだな、お前みたいな物わかりの悪ぃやつよりよっぽどな」
足音が遠ざかっていった。もう@@の声は聞こえない。
最後に呪いみたいな言葉を俺に残して@@は行っちゃった。
やっぱり、夢、本当になっちゃったな
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