「敦!桃井サン連れて先に帰れ!あと桃井サンのこと手当てしてあげてね!!」
「なんで…@@はどうすん、「いいから!頼む!!」
紫原と桃井を除いた全員が青峰を囲んで押さえるようにしているのは明らかに異様だった。蚊帳の外にされている感がいなめなくて、紫原は唇を噛む。
「最近、こんなのばっかじゃん」
「…その、訳はそのうち話すから…」
「そのうちっていつだし。みんな、変だよ」
「頼むよ敦、お前しかいねえんだ」
今は何も聞くなと、@@は紫原の肩を掴んで頭を下げた。
「なんだよ、それ…そんな顔、見たことねえし」
「敦…?」
「いいよ、別に。…いこ、さっちん」
「で、でも…ねえ**くん、大ちゃんは…」
「大丈夫だから、…ごめんな、桃井サン」
そう言った@@の顔はもう二人のどちらも見ていなかった。
半ば追い出される形で図書室から出ていった二人はゆっくりと道を歩いていた。桃井は心配から何度も後ろを振り返っている。
「どうしちゃったんだろ…みんな」
「しんねーし」
「むっくんは、心配じゃないの?」
「@@、なんも言わないから、俺知らない」
「むっくん…」
「もうこれ、話したくない」
一応気は遣っていたのか、少し緩めだった紫原の歩幅はその言葉を境に急に大きくなった。逃げるように、学校から離れていく。
手の甲に張られた絆創膏を一瞥し、桃井は学校を振り返る。
「みんな…」
欠けた月が雲間から顔を覗かせていた。
rescue me
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