「い……っでええええええ!!!」


次いで叫んだ。@@ではない。
@@を押し退け青峰が上体を起こして打ち付けられた後頭部を押さえている。痛みで涙が滲む目はもう充血していなかった。


「っ何すんだよ!超痛ぇ!!」
「それこっちの台詞だっつの」


怒鳴った青峰の目が@@の腕を見て凍りつく。シャツが破け夥しい血が流れていた。


「お前、それ」
「覚えてねえか」
「……」


青峰は自分の額をおさえ、唇を戦慄かせた。
覚えてる、掠れた声が漏れた。


「お、俺が…やった…覚えてる、お、俺。お前が血出してからわけわかんなくなって…」
「うんとんでもなかったな」
「なんだよこれ、俺、どうし、たんだ」


頭痛が激しくなったあと、急に痛みが消えたかと思えば視界が真っ赤になって、青峰の中にはよくわからない感情が芽生えた。
目の前の@@に噛みつきたい。噛んで、引っ掻いて、ボロクソにしたい。いいや、しなければならない。


「なあオイ、これなんなんだよ…!」
「簡単に言えば、お前が狼男ってこと」
「ふざけんじゃねえこんなときに!」
「至って真面目だ馬鹿野郎。信じたくねえだろうが、いるんだぜ実際。こういうの」


我が身をもって知ったのだから、青峰はそれ以上何も言えなかった。夢なんじゃないかと思ったが、口のなかに残る鉄の味が現実を知らしめてきた。

「お前、驚かねえのかよ…こんな…」
「まあ慣れてるしな」
「慣れ…」
「狼男見たのは初めてだったけど」


ほんとにいるんだなあ、とぼやきながら@@は満月を眺めた。
そんな@@の肩を震える手でつかむ。


「誰にも言うんじゃねえ!こんなん…!あいつらに知られたら…!!」
「いや無理」
「ハア!?」
「俺一人じゃ無理だもん」
「て、てめえっ…!」
「まあ落ち着けよ」


「お前、バスケ部でよかったな」



青峰は@@の笑顔の真意を次の日に知ることになる。
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